2019年6月5日 外務委員会全文

○若宮委員長 次に、山川百合子君。

○山川委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの山川百合子でございます。

 きょうも質問の機会をありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、私からも、川崎の事件におきまして、栗林華子さん、そして小山智史さん、お二人のとうとい命が犠牲になりましたこと、本当に強い憤りを覚えるとともに、心から哀悼の意を表させていただきたいと思います。

 それでは、きょうの質問は三つでございます。日米首脳会談とその後の記者会見での言葉など、それを引用しつつ、大きく三項目、質問をしていきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 まずは、日米貿易交渉についてでございます。

 トランプ大統領のツイッターで、日米貿易交渉の合意について、七月の選挙、これがエレクションズとなって複数形でしたが、の後というふうに発言をされていらっしゃいます。

 もともと四月二十六日の会談時には、五月の訪日時の署名を示唆するなどされていたというふうに思います。早期の交渉妥結を目指していたというふうに思いますが、トランプ大統領が選挙の日程に配慮するということはちょっと考えにくいのかなという気もしているんですね。このツイッターへの書き込みが安倍総理とのゴルフの後というふうに報じられていたこともありまして、選挙に影響を及ぼすことを懸念された安倍総理が合意延期を要請したのではないかという見方もございます。

 そこで、念のために確認をさせていただきたいんですけれども、まず、トランプ大統領と安倍総理との間で合意の時期について話し合ったという事実はあるのかという点、そして二番目には、合意を七月の選挙の後とすることは日米両政府の間で共有されている認識かということ、そして三点目としましては、トランプ大統領のこの七月の選挙の後という発言が、現在進行中の茂木大臣とライトハイザー通商代表との間の交渉に期限が切られたような形になったようにも見えるわけですけれども、この現在進行中の交渉に与える影響についてどのようにお考えになっているのか。以上三点、お願いいたします。

○河野国務大臣 トランプ大統領はかねてから、なるべく早く合意をしたいという期待感を述べてこられましたが、現在、茂木大臣とライトハイザー通商代表の間で交渉が行われているわけでございまして、これの期限について何ら決まっているものはございません。

 しかし、日米がウイン・ウインとなるよい成果を早く出す、そのために議論を加速化するというのは、これは両国にとって望ましいことでございますし、日米の首脳間でも交渉をなるべく早く加速化していこうということで合意をしたというふうに思っております。

○山川委員 ありがとうございます。できるだけ早くということで合意をしたということがわかりました。

 あわせてなんですが、今度は、また選挙のことで恐縮ですが、アメリカの大統領選挙とこのスケジュールとの関係についてちょっと御見解を伺いたいんです。

 貿易赤字の是正を公約に掲げているトランプ大統領が、選挙戦が本格化する前にアメリカにとって有利となる結果を求めてくることは当然想定をされることだというふうに思います。

 この貿易交渉のスケジュールとアメリカの大統領選挙のスケジュールとの関係についてどのようにお考えになっているかということと、また、日米ウイン・ウインの関係、これはもちろん日米両国の国益にかなうということであるわけだと思いますけれども、このウイン・ウインの関係ということが、両首脳の選挙戦への配慮も外交戦略上含まれるというふうに考えられるのか、大臣のお考えをお伺いできればと思います。

○河野国務大臣 ウイン・ウインという言葉は、英語で、広くお互いにとって利益になることという意味で使われているわけで、選挙と関係のない方もこういう言葉を使われていると承知しております。

○山川委員 ありがとうございます。

 では、もう少し進めていきたいんですが、この貿易交渉について、TPPの水準が最大限であるという日本側の立場についてなんですが、トランプ大統領がそのように、同じように本当に考えているのかという点についてでございます。

 安倍総理は、日米共同声明を大前提に日米双方にとってウイン・ウインとなる合意とする考えであるというふうに記者会見で答えたわけであります。これは、記者の質問としては、農産品の関税についてはTPPの水準が最大限であるという日本の立場に変わりはないかという質問に対してのお答えです。

 これに総理がお答えになっているところに、トランプ大統領が割り込むような形で、私はTPPとは関係がありませんというお答えがありました。

 日本側はTPPの水準が最大限であると説明をし、昨年の共同声明では、「日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限である」という日本の立場を尊重することが明記はされています。しかし、その共同声明にはどこにもTPPという言葉はありません。

 それで、では、安倍総理とそしてトランプ大統領の間で、そのTPPの水準が最大限であるという点について、本当に共通のところに立っているのかというところが懸念をされるわけであります。むしろ、トランプ大統領が共同記者会見でおっしゃったことというのは、アメリカ側は貿易交渉においてTPPの水準に縛られないという主張と捉えるのが自然ではないかというふうに思われるわけであります。

 そこで、確認というか質問したいわけですが、TPPの水準が最大限であるという日本の立場はしっかりと米国にも理解をされているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○清水政府参考人 お答えいたします。

 昨年九月の日米共同声明では、今お話がありましたとおり、「農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限である」というふうに明記されているところでございます。

 そして、過去の経済連携協定で最大水準のものはTPPと日本としては考えており、その旨をアメリカ側に説明しているというところでございます。さらに、今後の交渉でもこの立場は変わらないとアメリカ側に伝えております。

○山川委員 ありがとうございます。

 そうしますと、アメリカ側にはちゃんと伝えているので、ちゃんと理解はされているということだと思います。ありがとうございます。

 それで、もう少し伺いたいのは、アメリカのTPP12協定への復帰の見通しと、そして、11協定におけるいわゆるTPP枠の見直しを行う必要性について伺っておきたいんです。

 11協定では、農林水産分野に関する市場アクセスについてはアメリカも署名した12と同じ内容とされていて、牛肉の輸入に関するセーフガードに関しては米国からの輸入量を考慮した基準である、また、バターや脱脂粉乳等TPP枠についても米国からの輸入量を含めて設定された数量のままになっています。

 また、TPP11協定第六条には、米国が復帰した場合あるいは復帰しないことが確定した場合などを念頭に、協定を見直す規定が盛り込まれています。

 それで、会談の前、五月八日の衆議院の農林水産委員会においては、アメリカがTPPに戻る可能性があり、日米貿易交渉と並行して協議を進めている状況である、そういう御答弁もございます。ただ、トランプ大統領の訪日と会談があって、事態は変化しているのではないかなというふうに思います。

 そこで伺いたいんですけれども、政府は、現段階においてもアメリカがTPPに戻る可能性があるという認識をお持ちかということ、そして、アメリカがTPPに戻る可能性がないと判断されるのはどういうケース、どういうふうになったらTPPに戻る可能性がないというふうになるのか、どういうケースを具体的に想定しているのかということ、そして、物品貿易協定が署名された場合は、アメリカがTPPに戻る可能性がないという場合に相当するのか、さらに四点目として、物品協定が発効した場合において、TPP11協定が見直されないまま両者が併存するということもあるのか。この四点についてお伺いをしたいと思います。

○清水政府参考人 お答えいたします。

 まず、アメリカの復帰の見込みでございますけれども、現時点で、政府といたしましては、アメリカがTPPに復帰する見込みがなくなったわけではないと考えているところでございます。我が国といたしましては、最終的にアメリカがTPPに復帰することが日米両国にとっても最善であると考えておりまして、その旨を伝えているところでございます。

 それから、今後の日米の貿易交渉につきましては、具体的な交渉はこれからまさに始まるところでございます。現時点では、貿易交渉の個別の事柄について何も決まっていない段階でございまして、御理解を賜りたいと思います。

○山川委員 では、どういうときに協定の見直しを行うか、どのタイミングで見直しをするのかしないのかということを決めることもまだ、どうするかも、こういうときにこういうという想定もされていないというようなお答えになるんじゃないかなと思います。

 もちろん、一番のポイントというか関心事というか懸念は、TPP11で妥結した輸入枠の範囲を超えるようなことがないというところが一番大事なことでありまして、私も昨年、本会議質問をする機会もいただいたんですけれども、アメリカにはまた特別枠を設けるということがないように、TPPの水準が最大限だということはおっしゃっていますが、全体としてというようなお言葉も入ったりして非常に曖昧で、関係者の方々も非常に不安に思われているというふうに思います。

 河野大臣は、首脳会談の後に行われた参議院の外交防衛委員会の中で、日米共同声明ではTPPの枠組みの中で合意をする、それを目指して交渉することになりますというふうにも御答弁をされているんですが、TPP11でのTPP枠の範囲を逸脱した輸入枠の拡大はしないという御答弁がぜひあるといいなというふうに思うわけですが、今後の交渉に臨むに当たっての我が国の姿勢というものについて大臣からお伺いしたいと思います。

○河野国務大臣 共同声明に基づいて、今、茂木大臣とライトハイザー通商代表が交渉をしているところでございます。国益に沿った形でしっかりとした交渉が行われ、なるべく早期に合意が行われることが望ましいと考えております。

○山川委員 ありがとうございます。

 それでは、二つ目の項目として、北朝鮮問題に移らせていただきたいというふうに思います。

 まず、五月に北朝鮮が発射した飛翔体についてでございます。これについてはこれまでも質問も出ておりましたが、私の方でも質問させていただいて、確認したいというふうに思います。

 まず、この飛翔体についての日米の認識にそごがあるのではないかという点についてであります。

 今回の首脳会談では、両首脳は、北朝鮮問題について、最新の北朝鮮情勢を踏まえ、十分な時間をかけて方針の綿密なすり合わせを行った上で、国連安保理決議の完全な履行の重要性を含め、日米の立場が完全に一致していることを改めて確認したとされています。

 しかし、トランプ大統領のこれまでの御発言の中で、短距離弾道ミサイルについては気にしないという御発言があったり、共同記者会見の場では、アメリカ国民はもしかしたら北朝鮮が国連決議に違反しているかもしれないと思っている人もいるかもしれません、しかし、私はそうは思っていませんというふうな御発言がありました。

 そこで伺いたいんですけれども、五月の北朝鮮によるミサイル発射について、このことが短距離弾道ミサイルであるという点、そして二つ目としては安保理決議違反であるという点、この二点において日米の立場は本当に完全に一致しているのか、そして、我が国政府として完全に一致しているというふうにいうのであれば、なぜ共同記者会見で大統領から我が国の評価と異なる内容が発せられているのか。この二点についてお伺いしたいと思います。

○河野国務大臣 短距離弾道ミサイルが発射され、安保理決議に違反しているということで日米の認識は全く一致をしております。これは、あらゆるレベルで日米とやりとりをする中で確認され、アメリカ側も、ボルトン大統領補佐官あるいはシャナハン国防長官代行が明確にそう発言をしております。

 他方、トランプ大統領は、現在の米朝プロセスを続けていくという意味で、北朝鮮向けにさまざまな発言をされているというふうに認識をしております。

○山川委員 ありがとうございます。

 米朝の交渉なり、米朝の関係においてそういう発信をされているというふうに理解をされているということでありました。

 そこで、更に伺っておきたいんですけれども、今おっしゃられたように、また、きのうのレクでもいろいろとお話を伺ったんですけれども、トランプ大統領のその発信の背景に、大統領と金正恩氏との駆け引きと言えるようなものが背景にあろうかとは想像する部分、察する部分ももちろんあるんですけれども、このことが、我が国が国連決議を主軸とする外交上とるべき行動を抑制するようなことになってはいけないなというふうに思っているわけであります。

 日本は、河野大臣が安保理議長として二〇一七年に非常に強いメッセージも発せられていますし、ぜひ、日本の立場、しっかりと貫いていっていただきたいと思うんですが、その点についてお伺いをしたいというふうに思います。

○河野国務大臣 今、国際社会は、北朝鮮が核並びにミサイルのCVIDを実現するまで安保理決議をしっかり履行しなければならぬという認識で一致をしているわけでございまして、それはこの時点で何ら変わりはないというふうに認識をしております。

○山川委員 ありがとうございます。

 では、例えば国連への働きかけとか、何か国際社会への具体的な働きかけというのを行っていく御予定についてはいかがでしょうか。

○河野国務大臣 今、国際社会の中で、安保理決議をしっかりと履行していこうということで足並みがそろっているところでございますので、日米を始め、この安保理決議の抜け穴となっている瀬取り、あるいは仮想通貨、最近は暗号資産というんでしたっけ、暗号資産の奪取、あるいは北朝鮮の労働者、まだ海外にいる労働者の本国への送還、こういったものをしっかりと進めるべく、国際社会の中で連携をしているところでございます。

○山川委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、北朝鮮問題についての日朝首脳会談に臨む姿勢として、条件をつけずにということについてなんですけれども、もちろん、トランプ大統領からもこの問題に対して、先ほど一番最初の先生の質問の中での御答弁で、協力の表明も得られて非常に心強いということは、私もそのように思いますけれども、しかし、条件をつけずに日朝首脳会談に臨むことにもリスクもあるんじゃないかなというふうに思います。

 北朝鮮側は開催に応じる気配はありませんし、仮に開催が実現したとしても、交渉が決裂した場合には、まだ完全な決裂に至っていない米朝の非核化交渉にも影響を与えかねないという見方もあるわけですが、この条件をつけずに首脳会談に臨むことのリスクについてどのようにお考えなのか、お伺いをしておきたいと思います。

○河野国務大臣 拉致被害者の御家族が御高齢になる中で、やはり拉致問題の一日も早い解決を目指して、政府としては、あらゆるチャンスを逃さず、しっかり対応していきたいというふうに考えているところでございます。

○山川委員 ありがとうございます。では、ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。

 それから、北朝鮮問題で一つ、共同記者会見の中で、トランプ大統領の発言の中であった言葉で、ちょっと気になることがございました。それについて伺っておきたいと思います。

 このような御発言がありました。安倍首相と私は、朝鮮半島の平和と安全を追求するため、緊密な協議を継続していく、我々のアプローチの本質は力による平和だというところがありました。これを読んで、この力による平和、これはどういうことかなと改めて確認したいというふうに思いました。

 私は、この外務委員会で質問させていただいた一番最初のときだったと思います、河野大臣に、平和をつくり出すということの私の姿勢についてお話をさせていただきました。武力によらない平和をつくるというキャッチフレーズでやっているんですけれども、安倍政権の集団的自衛権の行使を前提とする積極的平和主義、プロアクティブ・コントリビューション・ツー・ピースではなく、私の積極的平和、これは平和学で言うところのポジティブピース、平和創造のあり方を推進していきたいというふうに私は思っているんです。

 そういう私の姿勢から、共同記者会見で言われた、我々のアプローチの本質は力による平和だというこの言葉、これはトランプ大統領の言葉でありますが、この力による平和という考え方は日米両政府で共有されているのか、共有されているとすれば、具体的にこの力というのはどういうことを言っているのかということについて御説明をいただきたいと存じます。

○河野国務大臣 トランプ大統領のこの発言は、盤石な日米同盟のもとで、日米が緊密に連携し、地域の平和と安定に向けてともに取り組んでいこうという考えを示された言葉というふうに理解しております。

○山川委員 ありがとうございます。

 そうすると、具体的に、その力というものが何か具体的なことを指しているということではないということの御答弁だったというふうに理解をいたします。

 それで、もう時間になってしまいましたので最後の質問でございますが、最後は、安倍総理のイラン訪問についてでございます。

 やはり首脳会談で、トランプ大統領は冒頭に、安倍総理のイラン訪問に期待を示されたというふうに報じられているわけであります。また、イラン側も、外務省のムサビ報道官が、安倍総理が仲介の意欲を示していることについては、まだ仲介の段階ではないという御指摘もありつつも、日本の意見を聞くとお話しになって、イラン訪問について歓迎する意向であります。

 私たち日本は、中東において民族的、宗教的にも中立の立場でありますし、独自の立場を生かすことでいい役割を果たせる、そして、膠着状態にある核合意をめぐる問題に何らかの変化をもたらすことが期待されているわけでありますが、片側で、アメリカの同盟国であるということで、トランプ大統領の代弁者としてもし意見を伝えるだけでは、イラン側からの反発も招くのではないかなというふうに思います。

 中東外交に非常に本当に熱心に取り組まれ、成果を上げておられる河野大臣であられますが、この安倍首相のイラン訪問において、米・イラン情勢の緊張緩和と核合意をめぐる問題の解決に向けて我が国はどのような働きかけを行っていくおつもりなのか、御見解を最後にお伺いしたいというふうに思います。

○河野国務大臣 まだ安倍総理のイラン訪問は決まっているものではございませんが、日本はイランと伝統的な友好関係がございますので、そうしたこれまでの伝統的な関係を活用し、対話を通じてこの地域の緊張の緩和に貢献できる、そう考えているところでございます。

 先般はイランの外務大臣が東京へお越しになりましたが、さまざまな対話を通じて、この地域の緊張の緩和に向けて日本も努力をしてまいりたいと思います。

○山川委員 ありがとうございます。

 ぜひ、日本だからこそ、そして河野大臣のもとだからこそ果たせる役割を発揮していただければなと思います。

 ありがとうございます。終わります。