令和元年10月23日法務委員会

○山川委員 立憲民主党の山川百合子でございます。

 法務委員会は初めてでございます。大臣の所信をお伺いいたしまして、私も、大臣のもとでいろいろとぜひ進めていただきたいなというふうに思ったことがいろいろございまして、例えば、虐待や差別のない社会の実現に向けて取り組みますと、さまざまな人権問題を第一に挙げておられること、また、多文化共生社会の実現に取り組みますと、在留外国人への対応のみならず、適正かつ迅速な難民の保護にまで言及をされていること、そしてさらには、来年四月に開催される、先ほどもいろいろありましたけれども、国連犯罪防止刑事司法会議、通称京都コングレスでございますが、これを控えて、我が国の諸制度、諸法規、また法務行政全般にかかわる課題解決に向けて国際的な視野で取り組まれようとされている姿勢に、私も大変共感をしたということを先に申し上げさせていただきたいと存じます。

 そして、その上で、幾つかの大きな課題について、私にとりまして最初でございますので、法務大臣となられた河井大臣の御見解、御所見等をるるお伺いをしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず初めに、選択的夫婦別氏制度の導入についてお聞きをしたいというふうに思います。

 この選択的夫婦別氏制度を導入する民法一部改正案については、我が党も提出の会派となって提出をしております。

 この問題は、平成二十七年十二月に最高裁の合憲判決が出され、導入の議論については国会に委ねられているというふうに思いますが、国会での議論は必ずしも活発であるとは言えないように感じております。

 国民の中で意見が分かれているということが政府の見解でこれまであったというふうに思うんですが、昨年公表された世論調査、夫婦が婚姻前の名字を名乗ることを希望している場合には、それができるように法律を改めても構わないという回答が四二・五%と、その前の調査と比較をしても七%ふえているという、過半数に届こうかというような、状況が変化してきているというふうに思います。

 少し長くなりますが、賛成、反対、いろいろ議論はありますけれども、日本の伝統的な家族の形態が損なわれるという危惧がしばしば指摘をされていることは私も承知をしておりますが、先ほども山尾先生の質問でもありましたが、家族の形態というものが今大きく変わりつつある、世界的にも、また日本の国内でも変わりつつあるのが現状ではないか。核家族もふえて、また一人親世帯もふえてきている。

 もはや、この選択的夫婦別氏の制度の導入が日本の伝統的な家族形態を壊す原因になるということは、こういう論理は現状を考えると成り立たなくなってきている現状があるのではないかな。現実の方がはるかに速いスピードで変化しているというふうに私は見ていて、国民がその変化を感じ取っているのではないかなというふうに思います。

 むしろ、働く女性たちにとっては、結婚後も旧姓、旧の氏で働くことができること、男性と同様に認められること、このことが男女平等の観点からも求められていることではないかなと私は思います。

 もちろん、法律上は両性に認められている、どちらを名乗るかはカップルで決めるということは書かれていますけれども、実際はほとんどが男性の姓を選択するというか名乗っているということが社会通念であるということを踏まえれば、果たしてこれが、今の法の趣旨が男女平等という点においてどうなのかという疑問を私は持っているわけであります。

 そこで、最初ですので、大臣の御見解、御所見を伺っておきたいんですが、家族の一体感がなくなるですとか、日本独自の家族形態の崩壊とか、あるいは子供への悪影響とか、これらは私は杞憂にすぎないのではないかと思っているんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○河井国務大臣 今、山川百合子委員御指摘のとおり、民法第七百五十条に、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」というふうに規定されておりますので、選択的夫婦別氏ということで答弁をさせていただきます。

 この制度の導入の問題は、我が国の家族のあり方に深くかかわる事柄でありまして、慎重な検討を要するものだと考えております。先ほども御紹介いただきました平成二十九年の世論調査の結果を見ても、国民の意見が大きく分かれている、そういう状況であると認識をしております。

 今後も、引き続き国民各層の意見を幅広くお聞きをしていく、同時に、国会における議論の動向を注視しながら慎重に対応を検討してまいりたい、そう考えております。

○山川委員 今までの政府の御答弁のとおりというふうには思うんですけれども、家族の形態が変化してきているという世界的な流れがあると思うんですね。

 もちろん、我が国の家族形態にすごく重大なことだということについては、おっしゃられることは理解をいたしますが、それよりも世界の現実が大きく変化していて、先ほどもちょっと言いましたが、大家族が核家族に、核家族が一人親家庭に、先ほど山尾先生の質問にもありましたが、パートナーとの婚姻はしないで子供を持つとか、あるいは同性婚が認められるとか、世界の潮流、世界の流れがあると思うんですね。

 その流れというのは、もう日本もその流れから無縁でいることはできなくて、片側で伝統的な家族形態というのが日本にはあるというのはありますが、流れをとめることができないのではないか、制度が現実に逆に追いつかないのではないかということが懸念をされるわけですが、その点について、大臣の御見解はいかがでしょうか。

○河井国務大臣 今、現実のお話をされましたので、結婚前の旧姓の通称使用、これが現実に今どこまで拡大されているかということを御紹介させていただきます。

 政府におきましては、これまで、婚姻によって氏を改めることによる社会生活上の不利益や不都合があるといった御指摘、あるいは、先ほどから御指摘いただいているように、今日の社会が多様化しているということなどを踏まえまして、旧姓の使用を望む方がそれを使用することができる機会の拡大に向けた取組を進めてきております。

 具体的に申し上げますと、まず、来月、十一月から、マイナンバーカード等への旧姓の併記が可能となります。それから、旅券への旧姓併記の拡大に向けた検討を今行っております。加えまして、各種の国家資格、免許等への旧姓使用の拡大を既に措置済みということでありまして、具体的には、医師、建築士、税理士、美容師、弁護士などがそれに当たります。さらに、銀行口座等における旧姓使用に向けた働きかけなども現在行ってきております。

 これからも引き続き、国や地方や企業などが、それぞれの部門において旧姓を通称として使用できる機会を拡大するための措置を適切に講じていく必要がある、そのように認識をいたしております。

○山川委員 ありがとうございます。

 旧姓使用を拡大できるように取り組んでいるんだという御答弁はわかります。ぜひそれは進めていただきたいという思いもありますけれども、やはり、私としては、選択的でありますから、別にこの選択的夫婦別氏制度を導入しても、選択しないだろうというお答えの方も結構たくさんいるわけですよね。

 ですので、このことが、選択ができる、それを望む方は別氏を名乗ることができるという、選択、多様性を認める制度として、ぜひ大臣には前向きに取り組んでいただきたいなということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 続いて、児童虐待についてなんですが、大臣の所信表明のところで最初に掲げられていた児童虐待とたたかう法務省プロジェクトチーム、これは最初に掲げられていたということで、あっ、大臣は本気で取り組まれるんだなというのは、私もこれをお聞きしたときにそう思いました。

 先ほど、もう既に御質問が何回もございましたので、私もプロジェクトチームの内容についてお聞きしようと思っていましたが、それは先ほど御説明がありましたので、ぜひ成果が一日も早く上がるように取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 その上でなんですが、懲戒権に関する規定の削除についての大臣の御見解を伺っておきたいというふうに思います。

 この民法第八百二十二条の懲戒権については、現在、法制審議会で検討されているというふうに理解しています。

 平成二十三年の改正の際にも、児童虐待の正当化の口実に利用されているという指摘がなされて、規定の見直しがされ、親権者の懲戒権は子の利益のために行使されるべきもので、子の監護及び教育に必要な範囲を超える行為は懲戒権の行使に当たらないということを明確にしたわけでありますが、しかし、虐待によって子の命が奪われるという残酷な事件を防ぐことができないでいるわけであります。抜本的な防止策を講じることが必要です。

 私は懲戒権のこの規定を削除する方向で議論が進められることを望んでいるわけですね。というのは、懲戒権というものは、子供に対する親の権利を規定することにそもそも意味があるのか、また、親が子を叱り、しつけることは親権そのものに含まれる親の義務であり、教育権に属するものではないかというふうに思うからであります。

 暴力を正当化することになりかねない懲戒権を存置しておく必要はない、人権思想というのは大きく変わっている、そういうふうに思うわけですが、大臣のこの懲戒権の削除に関する御見解、御所見、そして、抜本的な対策という実効性のある施策を一日も早く講じていただきたいんですが、私からもその意気込みを伺っておきたいというふうに思います。

○河井国務大臣 ただいま、民法第八百二十二条、懲戒権に関する規定の削除について御質問いただきました。

 今、山川百合子委員がおっしゃいましたその御意見が存在しているということは、私自身、十分に認識をいたしております。承知をいたしております。

 その上で、これにつきましては、現在、法制審議会に設置をされた民法(親子法制)部会におきまして調査審議がなされている真っ最中なんですね。第一回がことしの七月二十九日に開催をされました。その中で、この民法第八百二十二条の規定を削除するということを含めて、さまざまな選択肢を視野に入れた検討が今まさになされているというふうに認識をいたしておりますので、諮問をさせていただいておりますその最中でありますので、具体的な、今おっしゃったことを含めた見直しの方向性については、その部会の議論を見守りたいと考えておりますし、充実した調査、そして審議が行われることを私としては強く期待をいたしております。

○山川委員 では、今法制審で審議をしているということなんですが、取りまとめはいつごろまでに行う予定なのか、伺っておきたいというふうに思います。

○河井国務大臣 これは、できる限り早い答申を期待をいたしております。

 これは、こちらからお願いしている立場でありますので、法制審議会の議論の状況次第ということがありますけれども、この懲戒権の規定の見直しに関しましては、施行後二年を目途とされているということも踏まえまして、施行日が令和二年四月一日ということでありますので、それも十分に踏まえて、充実した調査審議の上で、できる限り早期の答申がなされることを強く期待をいたしております。

○山川委員 本当に十分な調査審議が必要であると思いますが、児童虐待が繰り返されている、命を落とす子供たちが、もう二度と繰り返さないと誓ってもなお繰り返されているという現実がありますので、ぜひ本当に実効性のある対策を早急に講じていただきたいというふうに思います。

 続いて、三つ目として、死刑制度についてお伺いをしておきたいというふうに思います。

 命の問題でありますから、非常に重大な、また大切な問題だというふうに認識しているわけでありますが、私自身は、私の思想また哲学として、人が人の命を奪ってはいけない、人が人を殺してはいけない、国家権力といえども人の命を奪うものではない、そういう考えを持っています。ですので、戦争はもちろんでありますけれども、死刑制度についても、私の思想、哲学として、私は、やはり日本における死刑制度というのは廃止をしていくべきだという考えを持っております。

 ただ、この制度に対する思想、哲学というのは、廃止の立場からは、とうとい人の命は国家であっても奪う権利はないという考えがある一方で、いろいろな考えがありますが、そういう意見がある一方で、死刑存置の立場からは、人の命を奪った者は自分の命をもって償うべきであるとか、あるいは、どうしても死刑を適用せざるを得ない事案というのもあるんだ、それが社会正義なんだという考え方もあるわけであります。

 ですので、まず河井大臣の、人の命のとうとさ、重さというものについて、また、この死刑制度について、どのように考えているかを、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

○河井国務大臣 死刑制度につきましては、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる大変重要な問題であり、国民の皆様の世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現など、さまざまな観点から慎重に検討すべき重要な問題であるというふうに考えております。

 現在、国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人ですとか強盗殺人など、凶悪犯罪がいまだ後を絶たない現状、これを鑑みると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては死刑を科することもやむを得ない、死刑を廃止することは適当ではない、そう考えております。

○山川委員 そうしますと、今の御答弁は、今、国民の世論が多数として、やむを得ないと考える国民が多数であるので、大臣もそこはやむを得ないと考えているというふうな御答弁と今受け取りましたが、大臣のおっしゃったことはそれでよろしいでしょうか。

○河井国務大臣 そのとおりであります。

○山川委員 本当にすごく大切な問題なんですが、国民の世論の多数が死刑もやむを得ないというふうに現時点では考えているというのは、私も調査などからその数字は知っているんですが、国民がそのように考える理由の一つとして、死刑に重大犯罪の実行をためらわせる抑止力、犯罪抑止力がある点が指摘をされているというふうに思うんですね。大臣も今御答弁になられて、やむを得ないと。

 そこで伺っておきたいんですけれども、死刑の犯罪抑止力について大臣がどういう御見解を持っているか、そして、抑止力について大臣が考える根拠というものをお伺いをしておきたいというふうに思います。

○小山政府参考人 申しわけございません。まず事務方から御答弁をさせていただきます。

 死刑の犯罪抑止力に関するお尋ねでございます。

 死刑の犯罪抑止力を科学的、統計的に証明することは困難でございますけれども、一般に、死刑を含む刑罰は犯罪に対する抑止力を有するもの、こういうふうに認識されているところでございます。

 また、これまで政府が行った死刑制度に関する世論調査においても、死刑がなくなった場合、凶悪な犯罪がふえるという意見とふえないという意見がありますが、あなたはどのようにお考えになりますかとの質問に対して、ふえると回答した者がいずれも過半数を占めているなど、死刑の犯罪に対する抑止効果は広く認識されているというところもあるところでございます。

 さらに、死刑制度の存在が長期的に見た場合の国民の規範意識の維持に有用であるというところもあるかと考えてございます。

○山川委員 今の御答弁では、統計的には抑止力としての効果、そういう具体的な統計はない、数字としてはそれは示せないという御答弁であったということでよろしいですか。

○小山政府参考人 御指摘のとおりでございます。

○山川委員 ちょっと、後でもう一回触れるんですけれども、死刑制度を廃止した諸外国の国々で、死刑制度の廃止の前後で犯罪発生率の増加は見られないということもあるようであります。

 またこれにちょっと後で戻ってまいりますが、幾つか伺っておきたいんですけれども、裁判も、人間がやる以上、誤った判断が全くないとは言い切れないというふうに思います。

 再審請求で、殺人罪について無罪判決が言い渡された松橋事件などもありました。これは懲役刑であったために、刑事補償によって一定の金銭的回復は図られましたけれども、これがもし死刑判決で、それが実行されていたら、被害の回復ということはこれは見込めないというふうに思います。

 誤判の可能性が一%でもあるのであれば、やはり死刑制度には問題がある、むしろ、終身刑などの検討をより積極的に行うべきではないかという議論もあるわけでありますが、大臣のこの点についての御見解を伺っておきたいと思います。

○河井国務大臣 今具体的な再審の話ですとか判決のお話が出されましたけれども、この問題につきまして、個々の判断にかかわる事項ということでありますので、お答えは控えたいと存じますが、一般論として申し上げれば、再審の請求は、刑事訴訟法上、それ自体で法務大臣が死刑の執行停止を命ずる事由には当たらないというふうにされております。再審請求を行っているから執行しないという考え方はとっていないということであります。

 一般論として申し上げれば、死刑の執行に関しては、個々の事案について、関係記録を十分に精査して、刑の執行停止、再審事由の有無などについて慎重に検討して、慎重の上にも慎重に検討して、これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を発するものであると承知をいたしております。

○山川委員 お聞きしたのは、個々の判決についてということではなくて、誤判もあり得るときに、取り返しがつかないことになるかもしれないというその可能性ですね。

 それを踏まえて、個々の判決についてどうこうという、例は出しましたが、そのことについてどうこうということではなくて、大臣の御見解として、死刑が執行されてしまった場合には取り返しがつかないのではないかということについて、どうお考えかということをお聞きしておきたいということであります。

○河井国務大臣 委員御承知のとおり、日本におきましては、死刑は極めて厳格な制度のもとで慎重に運用されておりますので、誤った裁判によって無実の者に死刑が執行されるものはないというふうに考えております。

 今御指摘のありましたような、いわゆる誤判、誤った判断、誤判のおそれを理由として死刑制度を廃止すべきだという意見があることは承知をいたしておりますけれども、一つには、三審制が日本においては保障されております。さらに、確定した裁判においても、再審あるいは非常上告等の救済制度が設けられているということで、こういった仕組みが誤判を防止するために有効に機能しているというふうに考えております。

 そもそも、裁判所におきまして極めて慎重な審理を尽くした上で判決が言い渡されているということで、有罪の認定まで非常に厳格な手続が既にしっかりととられているということであります。

 先ほど私がお答えしましたように、さらにその上に、死刑の執行に際しましては、個々の事案について、関係記録を十分に精査、再審が開始されるべき事由が存在するかどうかなどについて慎重に検討して、これらの事由等がないと認めた場合に初めて法務大臣として死刑執行命令を発するというものであります。

○山川委員 今の御答弁の中で、執行を決定するのは大臣ということで、判断をされるお立場にある所管大臣としては非常に重い決断をしなければいけないというふうに、私もそう認識をしておりますし、本当に大変な重責を担われているというふうに思っています。

 ちょっと伺っておきたいのは、この制度の実態と執行の手続についてであります。

 これはよくわからないので、あえて伺っておきたいんですけれども、我が国の死刑制度の実態をお示しいただくために、過去五年間における死刑判決の確定数と死刑執行数はどのように変化しているか、拘置されている死刑確定者の総数はどのように推移しているかもお聞かせいただきたいというふうに思います。

 また、死刑囚が教誨師などによる心のメンテナンスなどもなされていると思うんですけれども、この手続について実態と、そして、その実態について大臣がどのようにお考えになっているかをお聞かせいただきたいというふうに思います。

○小山政府参考人 前提といたしました議員のお尋ね、過去五年間の死刑確定者数等についてまずお答えいたします。

 過去五年間における各年の死刑判決確定者につきましては、平成二十六年が七名、平成二十七年が二名、平成二十八年が七名、平成二十九年が二名、平成三十年が二名でございます。

 また、死刑執行者数でございますが、平成二十六年が三名、平成二十七年が三名、平成二十八年が三名、平成二十九年が四名、平成三十年が十五名でございまして、各年末時点における未執行者数につきましては、平成二十六年が百二十九名、平成二十七年が百二十七名、平成二十八年が百二十九名、平成二十九年が百二十三名、平成三十年が百十名でございます。

○名執政府参考人 死刑確定者の心情の安定を図るための教誨師の活動などについてお答えいたします。

 死刑確定者の処遇につきましては、刑事収容施設法三十二条におきまして、「その者が心情の安定を得られるようにすることに留意するものとする。」という処遇の原則が定められております。

 これは、死刑確定者が来るべき死を待つという特殊な状況にあり、日常、極めて大きい精神的動揺と苦悩のうちにあるであろうことから、その処遇に当たりましては、人道的な観点からも、その心情の安定に十分配慮することが求められていることによるものでございます。

 したがいまして、刑事施設において、死刑確定者の処遇に当たる職員は、まず日常的に接する中で死刑確定者一人一人の動静や心情の把握を徹底し、その状況に基づきまして、確定者が心情の安定を得られるよう必要な働きかけをしております。

 また、死刑確定者からの申出に応じまして、教誨師による宗教教誨を実施しましたり、確定者が孤独に苦しむことのないよう、定期的に職員との面接を行うなどの取組も行っているところです。

○山川委員 ありがとうございます。

 現状について御答弁いただきましたけれども、先ほどから繰り返し大臣の御所見と考え方をお伺いしているんですが、片側で、被害を受けた方がいらっしゃるということ、犯罪を犯したという事実があるということ、しかし、もしかしたら改心といいますか、自分のしたことに対しての罪の意識、罪責感というものに駆られていることもあるかもしれません、そこは人それぞれ、ケースはいろいろだとは思いますけれども。

 そういう中で、この手続について、執行を決定する、判断する大臣として、この執行手続ないし制度の実態について、何かつけ加えてお考えを述べていただくことがあれば伺っておきたいというふうに思います。

○河井国務大臣 申し上げるまでもないことですけれども、死刑というものは人の命を絶つ極めて重大な刑罰であります。その執行に際しましては、慎重な上にも慎重な態度で臨む必要があるというふうに考えております。

 それと同時に、法治国家におきましては、確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないことはもう言うまでもないことでありまして、特に死刑の判決は、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対して裁判所が、先ほど御答弁申し上げましたように、慎重な審理を尽くした上で言い渡すものでありますので、法務大臣としては、裁判所の判断を尊重しつつ、法の定めるところ、刑事訴訟法第四百七十五条に従って慎重かつ厳正に対処するべきものだと考えております。

○山川委員 ありがとうございます。

 最後に、死刑制度についてのことで、世界的な潮流とのことで、来年開催が予定されている京都コングレスとあわせてお聞きをしておきたいというふうに思います。

 国連の総会においては、死刑の存続に深刻な懸念を表明して、加盟国に死刑廃止を視野に入れた執行の一時停止などを求める死刑執行停止決議が賛成多数で採択されるという状況が繰り返されているというふうに思うんですね。この背景には、この制度の廃止の前後で犯罪の発生率の増加が特に見られないということも国連決議の一つの要因となっているというふうに思います。

 来年、京都コングレスが開催されるわけでありますが、死刑存置国である我が国は、議長国として、この死刑制度の廃止を求める世界的潮流にどのように対峙をしていくおつもりなのかということ。日弁連のニュースの特集で書かれているようなんですが、法務省大臣官房国際課付の方が、日本でコングレスを開催する意義について、我が国の刑事司法制度や実務について客観的に見詰め直すよい機会となる点というのを挙げていらっしゃるようであります。

 こういうことを踏まえて、来年の京都コングレス議長国として、この死刑制度の廃止を求める世界的潮流にどのように対峙をしていくおつもりなのか、御見解をお伺いをしておきたいと存じます。

○河井国務大臣 お答えいたします。

 死刑制度の存廃につきましては、今委員御指摘いただきました国際連合あるいは国際機関における議論の状況、そして諸外国における動向などを参考にしつつも、基本的には、各国において、犯罪情勢、刑事政策のあり方、そして国民感情などを踏まえて独自に決定すべき問題である、そう考えております。

○山川委員 では、あと二つあったんですが、ちょっと時間が限られているので、二つのうちの一つのみお聞きをしたいんですが、恩赦についてお伺いをしておきたいと思います。

 昨日、天皇陛下が即位を宣明された即位の礼に私も出させていただきまして、この歴史的な儀式に参列できたことはすごく光栄に思っておりますし、また、天皇陛下が、日本国民の発展、安寧、それから世界の平和、これを切に願っているというふうにおっしゃられて、私も本当にそういう日本社会、そして国際社会に向けて精いっぱい努力していきたいというふうに思っております。

 そして、きのうのきょうでもありますので、この恩赦、政令恩赦ですね、復権令について、その内容をお伺いをしておきたいというふうに思います。

 裁判により罰金に処せられた者で、その全部の執行を終わり、又は執行の免除を得た日から令和元年十月二十二日、きのうですね、の前日までに三年以上を経過したものが対象ということでありますけれども、その対象となる刑また罪、及び各刑、各罪ごとの対象人数、今回の恩赦の内容の実態がどうであったかということ、それから、もう時間がないので、諸外国の恩赦というのはどういうものがあるかということをあわせて伺いたいと思います。

○今福政府参考人 お答えいたします。

 今般の恩赦は政令恩赦と特別基準恩赦から成りますが、今御指摘の政令恩赦につきましては、罰金刑を受け終わった者であって、かつ三年以上罰金以上の刑に処せられていないものについて復権を行うというものでございます。これにつきまして、罪名を特定しているものではございません。

 また、特別基準恩赦についても申し上げますが、特別基準恩赦については、犯情等を考慮して、特に恩赦とすることが相当であると認められるものに対する刑の執行の免除及び復権の二種類のみを実施いたします。

 このうち、刑の執行の免除は、刑の執行が長期間停止され、かつ、なお長期にわたり執行に耐えられないと認められるものを対象としております。

 また、復権につきましては、罰金刑を受け終わった者であって、刑を受けたことが現に社会生活上の障害となっていると認められるものを対象としております。

 今回の恩赦の対象者を試算いたしますと、復権令でいえば、その対象者数は約五十五万人となることが見込まれております。その罪名を見ますと、約八割が道路交通法違反などの交通関係であると考えられます。

 諸外国でございますけれども、もちろん制度の背景、内容、運用状況等はさまざまでありますが、確定した刑を軽減するなどの恩赦制度は存在しておりまして、例えば、アメリカ、イギリス、フランスなどにも制度があると承知をしております。

 以上でございます。

○山川委員 ありがとうございます。

 まだもう一つ、刑法の性犯罪規定の見直し等について、あと、再犯防止についてあったんですが、時間ですので、きょうはこれで終わらせていただいて、今後、法務委員会で真摯に取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 ありがとうございました。