質疑

不妊治療支援の年齢引き上げ・男性の不妊治療支援について。

令和2年4月3日厚生労働委員会質疑より

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山川ゆりこ

コロナウイルス感染症の拡大に伴い、不妊治療を考えている方あるいはされている方に対してとても重大な発表があったので、これについてもお尋ねしておきたいというふうに思います。

 四月一日に日本生殖医学会は、新コロナウイルス感染症に対する日本生殖医学会からの声明というのを出されました。この中で学会は、妊婦においてコロナウイルス感染の重症化の可能性が指摘されていること、また、感染時に使用される治療薬として妊婦に禁忌の薬剤、これはアビガンのことだというふうに思いますが、による治療が試行されていることから、妊娠が成立した後の感染への対応に苦慮することが予想されているなどとして、一定の時期を目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示することを推奨するという、会員の皆さんに対する呼びかけでありました。

 このニュースがネット上で流れるとさまざまなコメントが寄せられまして、当事者の関心の高さがうかがえますし、また、これを受けてクリニックからも、可能であれば延期をお勧めしますとか、あるいは、継続、一時延期は患者様御自身の判断でといったコメントがアップされています。

 こういう危機的な状況だから今はやらない方がいいですよということではあろうかと思うんですが、一方、御存じのとおり、不妊治療というのはある意味本当に時間との戦いであります。一日一日が戦いであるという、その現実がございます。もちろん精子、卵子のそれぞれの状況とか体調とかいろいろありますけれども、やはり治療効果としては一般的には年齢が若い方がいいというふうに言われていて、しかも特定不妊治療の助成対象が年齢で分かれているというところがございます。

 治療期間の初日における妻の年齢が四十三歳未満であるということが対象である、しかも、通算が六回か三回かというのは、初めて助成を受けたのが四十歳未満か四十歳以上かでこれが分かれてしまうわけであります。治療の延期を勧められても、助成が受けられるか受けられないかの瀬戸際である場合、また、一カ月や二カ月で四十や四十三を超える云々という方ばかりではなくて、これがいつまで続くのかわからない中で、助成を受けないとこの治療を受けられない方々というのはたくさんいらっしゃるわけであります。

 ですから、いつ治療するのかということはすごく大事でありますけれども、もう期限が切れちゃうから急いで治療しなきゃいけない、助成金をもらわないと治療ができないから、無理をして、心配だけれどもやらなきゃいけない、あるいは、それは心配だからもう諦めるといった、こういうことが起こっては大変悲惨だというふうに思うんですね。

 この申請の受け付けについては、ぜひ厚労省の皆さんに柔軟な対応を御検討いただきたい。切実な声が届いているわけですが、ぜひ御検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。

 

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稲津副大臣

お答えさせていただきます。

 今議員からございました、日本生殖医学会からの四月一日付での御指摘のような不妊治療の延期に関する提言が出されたことは承知をしております。

 ただ、厚生労働省として、このことを踏まえて関係学会等の動向をしっかり注視する必要がある、このように思っておりまして、現時点において不妊治療の延期を呼びかけるといったことは考えてはございません。

 しかしながら、一方で、今議員からもさまざまお話をいただきました、例えば、助成対象年齢要件、四十三歳の運用ですとか、凍結胚の保存のことですとか、そうしたことを踏まえての御質問だと思いますけれども、そうした不妊治療を受けている方々の不安を軽減することは大変重要な課題であると考えておりまして、関係学会等とも連携しつつ、新型コロナウイルスの感染拡大が不妊治療に与える影響等について、しっかり、情報提供などを始め、どういう対応ができるのかよく検討してまいりたい、このように考えております。

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山川ゆりこ

凍結の話もちょっと触れていただいたんですけれども、ここにいらっしゃる皆さんはよく御承知のことと思いますが、不妊治療の経済的負担というものは物すごいものでありまして、凍結を延長する場合、もちろんクリニックにもよりますけれども、私自身がお世話になっているところでは一年延長するのに一回七万五千円ということなんですよね。

 お金が払えないから廃棄されてしまうというような、一日過ぎたら廃棄されてしまっていたとか、そんなことが、いい卵子がとれた、胚盤胞にまでなったということは、本当に切実な、この胚盤胞が子供になるかもしれないというような、そういう思いを持って大事に大事にしているわけでありますから、経済的なこと、このコロナウイルス感染症のことで経済的に苦しいからそれを泣く泣く諦めるなんということが一件でも起こらないように、ぜひ、柔軟な、そして御配慮ある対応をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、本当にコロナで大変なときなので、きょうはコロナ対策を中心にということで取り組ませていただいているんですが、片側で、新年度が始まりました、令和二年度が四月一日から始まりましたので、それ以外の事業も動いていくことになりますので、このタイミングで、すごく大事だというふうに思うこの不妊治療に関係する政府の取組について、何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 不妊治療というのは、国会でも、この不妊治療に対する経済的負担の軽減ですとかを始めとして、それは保険適用であるのか助成金なのかということもそうですし、助成金の額のことですとか、いろいろと国会の中で取り上げられています。私たちも立憲の中でワーキングチームをつくって大臣にも提言もさせていただいたんですけれども、与野党を超えて、この問題は本当に深刻な課題として、そして当事者として、涙を流す何十万人の人の思いを受けて、これを何とかよくしていきたいというふうに、多くの人がこれに取り組んでいます。

 改めて、ここで一度、一応、数字だけを少し確認のため挙げておくと、不妊の検査や治療を受けたことのあるカップルは、今、約一八・二%、五・五組に一組と言われていますし、生殖補助医療で誕生した子供も二〇一七年には五万六千六百十七人、約十七人に一人であります。これは、十七年前の二〇〇〇年が九十七人に一人であったことを考えると物すごい勢いでふえているということでありますし、治療を受けている延べ数も、二〇〇〇年は約七万周期、二〇一七年は約四十五万周期ということであります。

 単純な比較はできませんが、二〇一九年の出生児数、生まれた子供の数が八十六万四千人であったのに対して、二〇一七年の数字ではありますが、周期が四十五万周期ということは、どれほどこの不妊治療がやられているかということであります。この数字を踏まえても、やはり不妊治療の施策というのは非常に重要であるということであります。

 そこで、こういった与野党の議員からのいろいろな国会内での働きかけもあって、厚労省としては、また今年度、調査をするというふうにおっしゃっています。ただ、その調査の中身ですね、どういった調査をしていくのか、そして、その調査の結果をどう分析し、どう施策の改善なり前進に反映していくのか、このことが物すごく大事だというふうに思います。

 日本の政府の不妊治療のこれまでの変遷というか経緯というのを私なりに見てみますと、その中心は、自由診療で行われている不妊治療が非常に高額である、その経済的な負担を軽減するために助成制度を創設し、それを拡大してくるという歴史というか経緯であったというふうに思いますし、助成の拡大をしていただいているということは当事者にとっても本当にありがたいことでありますし、私も感謝をしています。もちろん課題はいろいろありますけれども、そのことはすごく感謝しています。

 しかし、片側で、保険適用の議論というのは与野党を超えていろいろな先生方からも上がってくるし、それでも、そのことは、政府側、厚労省側として十分な検討を経て、他国の制度とか出生数とか成功率とか、経済的負担の重い軽いが治療するかどうかに影響するかとか、いろいろ分析も研究も行った上で、それで保険を適用しないということではなくて、保険は適用しない、助成でということありきで、いろいろ研究をしても調査をしても、余りそのことが施策の検討に反映されていないというような印象を持っています。

 そこで、ことし、せっかく調査を行うのでありますから、であればこの調査を十分に生かして、ただ数字を調べました、患者さんの負担はこれぐらいになっています、だから助成をもう少しふやした方がいいんじゃないかとか、そういう議論にとどめることなく、より包括的、体系的に調査をして、そのことを研究して、そしてそれを施策の前進にぜひつなげていっていただきたいという思いで、これをこの年度の初めにぜひ伺っておきたいということでございます。

 もう時間がだんだん迫ってきているので、ぜひこれはすぐやっていただきたいなということで最初に伺うと、男性不妊を専門的に治療する泌尿器科、これは不妊治療の指定医療機関に認定がされていない、そのことによって不妊治療の申請の対象になっていない。きのうヒアリングでもその点をちょっと確認したんですが、そういう実情があるのかということと、実情があるのであれば泌尿器科であっても指定医療機関にぜひ認定していただきたいと思うんですが、ここのところをちょっと確認させていただきたいと思います。

 

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稲津副大臣

お答えさせていただきます。

 今委員からもさまざま御指摘がございましたけれども、不妊に悩む方への特定治療支援事業の実施に当たって、これは、厚生労働省の指針で示す指定要件を踏まえて各都道府県が医療機関を指定することになっておりまして、指針におきましては産婦人科専門医の配置については必須となっておりまして、御存じのとおり、今御指摘があったとおり、泌尿器科医師の配置については、実は、望ましい要件、このようになっております。

 議員の御指摘のとおり、特に男性の不妊治療に当たっては、泌尿器科医が単独で治療を行うということも想定されるということで、この指定の要件の見直しについて検討してまいりたいと思っております。

 

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山川ゆりこ

ぜひよろしくお願いします。

 男性不妊、これは、最近では、不妊症の原因の半分は男性だということがWHOが出してから少しずつ認知されるようにはなってきたと思いますが、特に日本ではまだまだですし、制度そのものが、もちろん男性不妊の治療に対しても政府は助成金を出していただくようになってはいるんですけれども、やはり社会的認知が非常に低い。ですから、やはり、一つ一つ、できることは何でもやって、男性不妊というものが社会的に認知される素地をぜひつくっていくためにも、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 今年度のその調査をすごく有意義なものにしたいわけでありますけれども、先ほど述べましたように、これまでを見ると、こういう研究をしました、こういう研究をしましたといって、研究論文みたいなのはいただくんですけれども、ではそのことがどう施策に生かされたのか、でも検討した結果が生かせなかったのかとか、そこは全然見えてこないんですね。

 そこでちょっと伺っておきたいんですが、これまで行った調査とか研究内容と施策への反映について、概略でいいんですが、時間がなくなりますので、概略を伺っておきたいと思います。

 

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渡辺政府参考人

お答えいたします。

 これまで不妊治療に関してさまざまな調査研究をやってございますけれども、先生のおっしゃった施策との関連ということで申し上げますと、例えば、先ほど来挙がっております男性の不妊治療につきましては、平成二十七年に男性不妊の調査研究を、これは意識調査も含めてやっております。その結果として、平成二十七年度には男性の不妊治療の助成制度を創設しておりますし、また、令和元年度にはこの助成額を十五万円から三十万円に引き上げております。

 また、平成二十五年度には有識者検討会というのをやっておりまして、ここではあわせて海外七カ国の調査をやっておりまして、それぞれの国における対象年齢ですとかあるいは回数といったことも調べておりまして、こういった結果を踏まえまして、例えば、平成二十七年度には初回治療の助成額を十五万円から三十万円に引き上げておりますし、また、二十八年度に先ほどございました対象年齢四十三歳未満としているというところは、海外で見ましても、年齢は大体三十九歳から四十四歳ぐらい、低いところでは三十九歳を上限にしているというところもあって、こういった状況も踏まえて政策の立案に生かしているところでございます。

 

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山川ゆりこ

ありがとうございます。男性不妊の方は、男性不妊への助成の創設に生かしているということで、それはすごくありがたく思います。

 

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