質疑

令和2年4月3日厚生労働委員会

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山川委員

 立国社の山川百合子でございます。

 厚労委員会での質問は初めてとなりますが、コロナ対策、私も本当に危機感を持って、ぜひ政府にはスピード感を持って、そして切迫感を持って行っていただきたいという思いから質問の機会をいただきました。また、あわせて、それに関連して、今年度に行われます不妊治療の支援事業についても少し御質問させていただきたいというふうに思います。

 本日、朝七時の時点で私がネットで確認をしたところ、日本のコロナウイルスの感染者は二千三百八十四人、お亡くなりになられた方は五十七人ということでございましたが、きょう、世界では百万人を超えたと。きのうは、ちょっと記憶ですが、九十万人後半、九十八万人ぐらいだったと思いますが、きょう見たところ、百万人を超え、死者は五万二千八百五十三人、そして回復された方が二十一万百八十六人というふうに数字が出ておりました。

 私は、海外からの帰国者からお話を伺う機会があります。というのは、ざっくばらんに申しますと、私の夫がイギリスに長く滞在しておりまして、そちらでの様子、それから帰ってきたときの様子など、話を聞いております。町の様子、そして政府の対応、また国民への呼びかけ、情報発信など、その話を聞くと、日本とは大きく様子が異なって、話を聞けば聞くほど、日本での危機管理、また、最悪の事態に備えるという切迫感がまだまだ足りないんじゃないかなという印象を私は持っております。

 お配りをしております資料の二枚目なんですけれども、これはジョンズ・ホプキンス大学のネット上での、毎分というか、二十四時間ずっと、アップしている数字がどんどん変わっていくこの資料であります。これは、きのう印刷したので九十八万と出ていますけれども。

 これを見ると、今、オーバーシュートが起こって大変な国の感染者の拡大の線グラフの、オーバーシュートを起こしているその角度というのが、ぎゅっと、非常に急であることがわかります。それに対して日本は、比較的、まだぐっと上がるところには至っていない。しかし、いつ、ぐっとオーバーシュートが来るか、もうすぐじゃないかというような懸念を、このグラフを見ることでますますその懸念を強めているところでございます。

 最悪の事態に備えて今できることを最大限やっていく、そして、最悪の事態が来ても本当に被害を最小限に抑えるということが何よりも重要であり、今求められているのは、やはり医療体制をどうきちんと確保しておくかということであるというふうに思っています。

 政府は自治体に対して、現状、コロナウイルスが蔓延したときの必要な病床数、準備できている数など、その数値を出すように促していますけれども、きのう、この質問に備えてちょっとヒアリングを行ったところ、政府としてはまだ全体を把握していない、それから、自治体の方からもまだ数字が上がってきていないところもあるというようなお話でありましたが、片側で、三月の末にはNHKが各県に入院を想定した人を列挙してもらって、全部で約二十三万人だという報道もありました。

 そこで、まず伺っておきたいんですけれども、この数字の把握、これはどうなっておりますでしょうか。

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宮嵜政府参考人

 お答えを申し上げます。

 まず、患者数等の把握というか、委員の御指摘は推計の関係だと思いますけれども、三月六日に事務連絡を出させていただきまして、各都道府県に対して、国内で新型コロナウイルス感染者数が大幅に増加したときに備えて、ピーク時の外来受診患者数とか、あるいは入院患者数とか重症者数というのを推計する式もお示しして出させていただいて、それに基づいて、地域の実情に応じて医療体制を整備していただくように検討をお願いしたところでございます。

 それぞれの県では数字を出していただいていると思いますけれども、地域によってフェーズとか状況が違いますので、それを全部単純に足し上げるのが国の全体の数値ではないということもあわせてその通知では出させていただいているので、国で集めていないというよりは、そういうような考え方で足し上げていないというふうに御理解いただければと思います。

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山川委員

 いろいろ状況がそれぞれあるので、単純に足し上げればいいというものじゃないということはわかりますけれども、しかし、国として、国全体での必要数、現状というのを把握しなくていいということではないわけでありまして、その点はいずれ、何らかの調整をかけて、地域間の連携ということも含めて調整をかけて、数字はいずれ、いずれといっても早くしなければいけないですが、出されるんでしょうか。

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宮嵜政府参考人

 お答え申し上げます。

 今申し上げたように、各地域で数字を出していただいて、どういうふうに取り組んでいただくかというのを各地域で議論していただいております。それらの状況につきましても、まず直近ということでは、三月の三十一日締めだったとたしか記憶していますけれども、その段階で各自治体の取組状況とかも把握した上で、更にどういうことができるかということを引き続き検討していくというような、そういう段取りで進めているところでございます。

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山川委員

  そのNHKの調査では、足し上げていくと想定した数は約二十三万人と出ていますが、それに対して準備ができると答えたのは、岡山と神奈川、二つの自治体だけということもあわせて出ていました。

 政府の担当の皆さんとお話をしていると、自治体にお願いしているので、自治体にお願いしているのでというふうにお答えになるわけでありますが、こういう危機のときは、実際にお願いすることはお願いするんだけれども、やはり、国として明確に現状を把握して、そしてそれにどう対応していくかというのが国民に対しても見えないと、国民の不安は増すばかりではないかなというふうに思っています。もちろん、午前中の質疑でもいろいろありましたけれども、ベッドの数はもちろんでありますが、人工呼吸器やECMOなど、命を守るのに必要なものは待ったなしで準備しなければいけないというふうに思います。

 マスクの二枚配付というのが繰り返し取り上げられていますけれども、マスクの増産を政府が打ち出して、大丈夫ですよというようなメッセージを出してから随分たって、そしてようやく、まずは二枚配りますと。もちろん、洗えるとかそういうことがあるとしても、これでは、数分が命に直結するような医療の資器材というのも本当に必要な数を準備していくことができるんだろうかということは、本当に国民の不安につながっているというふうに思います。

 先ほど、最初に申しました、海外の危機感、切迫感と日本では大分温度差があるように感じると申しましたけれども、BBCとかCNNとかを見ていますと、その様子がどんどんどんどん伝わってくるんですね。きのう見ていましたら、アメリカの方で、簡易的な人工呼吸器、見た感じもすごく簡易的な感じで、医学的なことはわかりませんが、見た目もすごく簡易な人工呼吸器をどんどんどんどん量産している、それだけ切迫しているんだということが伝わってくるわけであります。国民に対して、こういう危機が来てもこれだけの準備を今しているから、大丈夫だから、だから国民の皆さんはぜひ三密にも協力してくださいというような、国民にしっかりとメッセージを伝えていくことが非常に重要であるというふうに思います。

 あわせて、政府は、担当者の皆さんとお話しすると、常に、自治体が、自治体が、自治体がとおっしゃるんですね。そのことは、この状況の中で、必要な部分は十分あると思うんですけれども、政府としてもっとリーダーシップをとるべきであるし、自治体に責任を負ってもらうのであれば、やはりそこに予算措置を、一括交付金などで予算措置を、お金はちゃんと確保するから、大丈夫だからやってくれというふうに、政府の方がきちっとリーダーシップをとらなければいけないと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

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宮嵜政府参考人

 お答え申し上げます。

 基本的には委員御指摘のとおりで、しっかり自治体と連携して、我々もしっかり取り組んでいかなきゃいけないと思っております。情報共有もしっかりした上で取り組んでいければというふうに思っております。

 幾つか個別にお答え申し上げますと、例えば、オール・ジャパンで申し上げますと、病床の確保状況につきましては、感染症指定医療機関における感染症の指定病床で、利用できる病床が一千床、プラス一般病床が二万四千床で、二万五千床程度は確保されているというような状況とか、人工呼吸器につきましても三月三十一日時点で約八千台が使用可能な状況にあるとか、あるいはECMOにつきましても約八百台使用可能な状況にあるということがございますし、空き病床の確保とか、人工呼吸器あるいはECMOの確保などについても予備費も含めて必要な支援、予算措置をしているところでありまして、引き続き、地方公共団体としっかり一緒になって取り組んでいきたいというふうに考えております。

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山川委員

 本当に、国民に対するメッセージ、いろいろなことが、今、テレビ、ラジオ、またネット上でいろいろと国民の不安の声が上がっています。ぜひそれにしっかりと応えていかれるよう、そして、日本ではまだオーバーシュートには至っていないけれども今後どうなるかはわからない、オーバーシュートに至らなくても医療崩壊が起こり得るというようなことを発信するのであれば、それに対して今これだけのことをやっているから大丈夫なんだということもあわせて発信できるように、スピード感を持って対応していただきたいと思います。

 あともう二点ほど、先ほどの私の身近な者の経験から、ちょっと気になっていることがあります。それは、海外から帰国した際の空港での検疫に関することであります。この状況も随分どんどん変わっていっていまして、いろいろな方が帰られる状況のお話を聞いているんですけれども。

 大分前は、三月中ですけれども、中旬のころは、症状は全くなくて、ただ何か検疫のところでとめられて、それでいろいろ話をしていたら国内線の飛行機に乗りおくれて、それで仕方なく新幹線で帰った、公共交通機関で帰ったとか、感染の爆発的な拡大が懸念されるということで自己判断である国から帰ってきた方が、検疫をしてほしいと言ったけれども検疫はされなかったと。

 逆に、私の夫が、三月の終わりに帰ってきましたけれども、いろいろと御相談をして、状況を話して、家族の状況とか、母親のいろいろな健康上の状況も話したりしましたところ、検疫をしてくださったと。非常によくしてくださって、夜、検疫をして、次の朝には結果が出て、陰性ということで、今は自宅待機をしているわけですけれども、現場で働いている方々には本当に頭が下がるというふうに言っております。

 クルーズ船の方では、検疫官が感染をしたということがありました。それから大分たっていますけれども、現場で第一線で従事をされている方の安全確保、これは徹底的に行っていただきたいわけですが、その状況についてお聞かせください。

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浅沼政府参考人

 お答えいたします。

 検疫官、まさに新型コロナウイルス感染症対策の最前線に立っておりますが、標準的な感染防御策といたしましては、サージカルマスク及び手袋を装着するとともに、作業ごとに手指消毒を行うこととしております。また、検体採取などのより高いリスクを行う検疫官につきましては、国立感染症研究所が作成いたしました新型コロナウイルス感染症に対する感染管理をもとに、標準的な感染防御策に加えまして、フェースシールド又はゴーグルの着用、アイソレーションガウンの着用などを徹底しているところでございます。

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山川委員

 徹底していただきたいと思いますが、先ほど、午前中の御質問で先生方からもございましたけれども、防護服とか、必要ないわゆる備品というのでしょうか、いろいろなものが十分確保されて、在庫がないからずっと使い続けなきゃいけないなんということがないように、ぜひお願いをいたします。

 それからもう一点、午前中にも医療従事者の安全確保についての御質問がございましたから、私は、それに加えて、医療従事者の家族の方々の感染防止についてどういう対応をしているかも伺っておきたいというふうに思います。

 外国の例ではありますけれども、医療従事者からその家族を、先生が別に感染していなくとも、症状がなくとも、もしかしたらそのリスクがやはりある、濃厚接触者になる、家族にはそのリスクが高いということで、医療現場、コロナウイルス感染症対策の、現場で働いている先生の御家族の方と先生方、医療従事者を分けるということで、例えば大学の寮なんかを、今休校になっていますから、そこを借り上げて、先生方がその部屋を使えるようにするとかいろいろな方策をとっているわけでありますが、医療従事者については先ほど御質問がありましたから、御家族が感染しないようにということについての対策についてお伺いしたいと思います。

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宮嵜政府参考人

  お答え申し上げます。

 医療従事者の家族の関係でございますと、基本的対処方針におきまして、仮に医療従事者が罹患し自宅で療養する際、地方公共団体は家族内感染のリスクを下げるために同居家族が一時的に別の場所に滞在すること等の取組を講じることとするということとされておりまして、先生からは具体的な例がありましたが、実際にどうするかというのは、それぞれの地域で考えていただくというような形になろうかと思います。

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山川委員

 また地域で考えてくれということで、常にそうなってしまうんですが。ぜひ、そのために必要なことは政府を挙げてスピード感を持って早急に行うという、その姿勢を示すことが、実際の、こうした方がいい、ああした方がいいと自治体が考えることが実際に行われていくことになりますので、よろしくお願いをいたします。

 コロナウイルス感染症対策の関係であと二問伺いますが、一つはアビガンのことでございます。午前中も質問がございました。ですので、私は、アビガンの使用、特に不妊治療を行っている方あるいは行おうとしている方が、間違ってでも、この薬を使ってしまう、使っている期間に治療を行われるようなことがないように、本当に、よほど気をつけなきゃいけないというふうに思っています。

 不妊治療というと、どうしても、クリニック、女性の治療が中心になりますけれども、専門の泌尿器科で不妊治療を行っている男性もいらっしゃいます。そうすると、両方ともに本当に気をつけなければいけないんですが、先生方、看護師さんとか、医療従事者の方、スタッフの方、それから患者さん、ともにこのことをしっかりと徹底していかなければいけないと思いますが、この点についてどのような対策を行われているでしょうか。

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鎌田政府参考人

お答え申し上げます。

 御指摘のアビガンは、そもそも、新型あるいは再興型インフルエンザの感染症ということで効能、効果がありますけれども、その際でも、ほかのインフルエンザウイルス薬が無効などですとか、そういった限定もございますし、さらに、そもそもインフルエンザウイルス対策に使用すると国が判断した場合のみということになって、非常に流通も制限されてございます。

 そして、先生御指摘の御懸念でございますが、動物実験の段階におきまして各種動物におきまして催奇形性等も確認されておりますので、まず妊婦さん、それから妊娠している可能性のある婦人への投与を禁忌としております。それから、男性につきましても精液への移行が確認されておりますので、男性に投与するに際しても、その危険性について十分に説明した上で、投与の期間中それから投与終了後七日間までは避妊を徹底すると指導してください、さらには妊婦さんとの性交渉の禁止を指導してくださいというふうに添付文書の方に記載しているところでございます。

 さらに、同じような観点から、本剤での治療を開始する際には、患者さんそれから患者さんの家族の方に有効性だけでなく安全性についても十分に説明し、文書での同意を得るようにいたしているところでございます。

 こうしたことは添付文書に書いてございますので、使用に際しては、添付文書を参照した上で、安全性に十分に配慮していただくよう、引き続き周知徹底を図ってまいります。

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山川委員

 ぜひよろしくお願いいたします。患者さんたちはとてもこのことも心配しておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 それからもう一点、このコロナウイルス感染症の拡大に伴い、不妊治療を考えている方あるいはされている方に対してとても重大な発表があったので、これについてもお尋ねしておきたいというふうに思います。

 おととい、四月一日に日本生殖医学会は、新コロナウイルス感染症に対する日本生殖医学会からの声明というのを出されました。この中で学会は、妊婦においてコロナウイルス感染の重症化の可能性が指摘されていること、また、感染時に使用される治療薬として妊婦に禁忌の薬剤、これはアビガンのことだというふうに思いますが、による治療が試行されていることから、妊娠が成立した後の感染への対応に苦慮することが予想されているなどとして、一定の時期を目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示することを推奨するという、会員の皆さんに対する呼びかけでありました。

 このニュースがネット上で流れるとさまざまなコメントが寄せられまして、当事者の関心の高さがうかがえますし、また、これを受けてクリニックからも、可能であれば延期をお勧めしますとか、あるいは、継続、一時延期は患者様御自身の判断でといったコメントがアップされています。

 こういう危機的な状況だから今はやらない方がいいですよということではあろうかと思うんですが、一方、御存じのとおり、不妊治療というのはある意味本当に時間との戦いであります。一日一日が戦いであるという、その現実がございます。もちろん精子、卵子のそれぞれの状況とか体調とかいろいろありますけれども、やはり治療効果としては一般的には年齢が若い方がいいというふうに言われていて、しかも特定不妊治療の助成対象が年齢で分かれているというところがございます。

 治療期間の初日における妻の年齢が四十三歳未満であるということが対象である、しかも、通算が六回か三回かというのは、初めて助成を受けたのが四十歳未満か四十歳以上かでこれが分かれてしまうわけであります。治療の延期を勧められても、助成が受けられるか受けられないかの瀬戸際である場合、また、一カ月や二カ月で四十や四十三を超える云々という方ばかりではなくて、これがいつまで続くのかわからない中で、助成を受けないとこの治療を受けられない方々というのはたくさんいらっしゃるわけであります。

 ですから、いつ治療するのかということはすごく大事でありますけれども、もう期限が切れちゃうから急いで治療しなきゃいけない、助成金をもらわないと治療ができないから、無理をして、心配だけれどもやらなきゃいけない、あるいは、それは心配だからもう諦めるといった、こういうことが起こっては大変悲惨だというふうに思うんですね。

 この申請の受け付けについては、ぜひ厚労省の皆さんに柔軟な対応を御検討いただきたい。切実な声が届いているわけですが、ぜひ御検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。

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稲津副大臣

 お答えさせていただきます。

 今議員からございました、日本生殖医学会からの四月一日付での御指摘のような不妊治療の延期に関する提言が出されたことは承知をしております。

 ただ、厚生労働省として、このことを踏まえて関係学会等の動向をしっかり注視する必要がある、このように思っておりまして、現時点において不妊治療の延期を呼びかけるといったことは考えてはございません。

 しかしながら、一方で、今議員からもさまざまお話をいただきました、例えば、助成対象年齢要件、四十三歳の運用ですとか、凍結胚の保存のことですとか、そうしたことを踏まえての御質問だと思いますけれども、そうした不妊治療を受けている方々の不安を軽減することは大変重要な課題であると考えておりまして、関係学会等とも連携しつつ、新型コロナウイルスの感染拡大が不妊治療に与える影響等について、しっかり、情報提供などを始め、どういう対応ができるのかよく検討してまいりたい、このように考えております。

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山川委員

 ありがとうございます。

 凍結の話もちょっと触れていただいたんですけれども、ここにいらっしゃる皆さんはよく御承知のことと思いますが、不妊治療の経済的負担というものは物すごいものでありまして、凍結を延長する場合、もちろんクリニックにもよりますけれども、私自身がお世話になっているところでは一年延長するのに一回七万五千円ということなんですよね。

 お金が払えないから廃棄されてしまうというような、一日過ぎたら廃棄されてしまっていたとか、そんなことが、いい卵子がとれた、胚盤胞にまでなったということは、本当に切実な、この胚盤胞が子供になるかもしれないというような、そういう思いを持って大事に大事にしているわけでありますから、経済的なこと、このコロナウイルス感染症のことで経済的に苦しいからそれを泣く泣く諦めるなんということが一件でも起こらないように、ぜひ、柔軟な、そして御配慮ある対応をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、本当にコロナで大変なときなので、きょうはコロナ対策を中心にということで取り組ませていただいているんですが、片側で、新年度が始まりました、令和二年度が四月一日から始まりましたので、それ以外の事業も動いていくことになりますので、このタイミングで、すごく大事だというふうに思うこの不妊治療に関係する政府の取組について、何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 不妊治療というのは、国会でも、この不妊治療に対する経済的負担の軽減ですとかを始めとして、それは保険適用であるのか助成金なのかということもそうですし、助成金の額のことですとか、いろいろと国会の中で取り上げられています。私たちも立憲の中でワーキングチームをつくって大臣にも提言もさせていただいたんですけれども、与野党を超えて、この問題は本当に深刻な課題として、そして当事者として、涙を流す何十万人の人の思いを受けて、これを何とかよくしていきたいというふうに、多くの人がこれに取り組んでいます。

 改めて、ここで一度、一応、数字だけを少し確認のため挙げておくと、不妊の検査や治療を受けたことのあるカップルは、今、約一八・二%、五・五組に一組と言われていますし、生殖補助医療で誕生した子供も二〇一七年には五万六千六百十七人、約十七人に一人であります。これは、十七年前の二〇〇〇年が九十七人に一人であったことを考えると物すごい勢いでふえているということでありますし、治療を受けている延べ数も、二〇〇〇年は約七万周期、二〇一七年は約四十五万周期ということであります。

 単純な比較はできませんが、二〇一九年の出生児数、生まれた子供の数が八十六万四千人であったのに対して、二〇一七年の数字ではありますが、周期が四十五万周期ということは、どれほどこの不妊治療がやられているかということであります。この数字を踏まえても、やはり不妊治療の施策というのは非常に重要であるということであります。

 そこで、こういった与野党の議員からのいろいろな国会内での働きかけもあって、厚労省としては、また今年度、調査をするというふうにおっしゃっています。ただ、その調査の中身ですね、どういった調査をしていくのか、そして、その調査の結果をどう分析し、どう施策の改善なり前進に反映していくのか、このことが物すごく大事だというふうに思います。

 日本の政府の不妊治療のこれまでの変遷というか経緯というのを私なりに見てみますと、その中心は、自由診療で行われている不妊治療が非常に高額である、その経済的な負担を軽減するために助成制度を創設し、それを拡大してくるという歴史というか経緯であったというふうに思いますし、助成の拡大をしていただいているということは当事者にとっても本当にありがたいことでありますし、私も感謝をしています。もちろん課題はいろいろありますけれども、そのことはすごく感謝しています。

 しかし、片側で、保険適用の議論というのは与野党を超えていろいろな先生方からも上がってくるし、それでも、そのことは、政府側、厚労省側として十分な検討を経て、他国の制度とか出生数とか成功率とか、経済的負担の重い軽いが治療するかどうかに影響するかとか、いろいろ分析も研究も行った上で、それで保険を適用しないということではなくて、保険は適用しない、助成でということありきで、いろいろ研究をしても調査をしても、余りそのことが施策の検討に反映されていないというような印象を持っています。

 そこで、ことし、せっかく調査を行うのでありますから、であればこの調査を十分に生かして、ただ数字を調べました、患者さんの負担はこれぐらいになっています、だから助成をもう少しふやした方がいいんじゃないかとか、そういう議論にとどめることなく、より包括的、体系的に調査をして、そのことを研究して、そしてそれを施策の前進にぜひつなげていっていただきたいという思いで、これをこの年度の初めにぜひ伺っておきたいということでございます。

 もう時間がだんだん迫ってきているので、ぜひこれはすぐやっていただきたいなということで最初に伺うと、男性不妊を専門的に治療する泌尿器科、これは不妊治療の指定医療機関に認定がされていない、そのことによって不妊治療の申請の対象になっていない。きのうヒアリングでもその点をちょっと確認したんですが、そういう実情があるのかということと、実情があるのであれば泌尿器科であっても指定医療機関にぜひ認定していただきたいと思うんですが、ここのところをちょっと確認させていただきたいと思います。

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稲津副大臣

 お答えさせていただきます。

 今委員からもさまざま御指摘がございましたけれども、不妊に悩む方への特定治療支援事業の実施に当たって、これは、厚生労働省の指針で示す指定要件を踏まえて各都道府県が医療機関を指定することになっておりまして、指針におきましては産婦人科専門医の配置については必須となっておりまして、御存じのとおり、今御指摘があったとおり、泌尿器科医師の配置については、実は、望ましい要件、このようになっております。

 議員の御指摘のとおり、特に男性の不妊治療に当たっては、泌尿器科医が単独で治療を行うということも想定されるということで、この指定の要件の見直しについて検討してまいりたいと思っております。

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山川委員

 ぜひよろしくお願いします。

 男性不妊、これは、最近では、不妊症の原因の半分は男性だということがWHOが出してから少しずつ認知されるようにはなってきたと思いますが、特に日本ではまだまだですし、制度そのものが、もちろん男性不妊の治療に対しても政府は助成金を出していただくようになってはいるんですけれども、やはり社会的認知が非常に低い。ですから、やはり、一つ一つ、できることは何でもやって、男性不妊というものが社会的に認知される素地をぜひつくっていくためにも、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 今年度のその調査をすごく有意義なものにしたいわけでありますけれども、先ほど述べましたように、これまでを見ると、こういう研究をしました、こういう研究をしましたといって、研究論文みたいなのはいただくんですけれども、ではそのことがどう施策に生かされたのか、でも検討した結果が生かせなかったのかとか、そこは全然見えてこないんですね。

 そこでちょっと伺っておきたいんですが、これまで行った調査とか研究内容と施策への反映について、概略でいいんですが、時間がなくなりますので、概略を伺っておきたいと思います。

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渡辺政府参考人

 お答えいたします。

 これまで不妊治療に関してさまざまな調査研究をやってございますけれども、先生のおっしゃった施策との関連ということで申し上げますと、例えば、先ほど来挙がっております男性の不妊治療につきましては、平成二十七年に男性不妊の調査研究を、これは意識調査も含めてやっております。その結果として、平成二十七年度には男性の不妊治療の助成制度を創設しておりますし、また、令和元年度にはこの助成額を十五万円から三十万円に引き上げております。

 また、平成二十五年度には有識者検討会というのをやっておりまして、ここではあわせて海外七カ国の調査をやっておりまして、それぞれの国における対象年齢ですとかあるいは回数といったことも調べておりまして、こういった結果を踏まえまして、例えば、平成二十七年度には初回治療の助成額を十五万円から三十万円に引き上げておりますし、また、二十八年度に先ほどございました対象年齢四十三歳未満としているというところは、海外で見ましても、年齢は大体三十九歳から四十四歳ぐらい、低いところでは三十九歳を上限にしているというところもあって、こういった状況も踏まえて政策の立案に生かしているところでございます。

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山川委員

 ありがとうございます。男性不妊の方は、男性不妊への助成の創設に生かしているということで、それはすごくありがたく思います。

 では、それを挙げていただいたんですが、それがこれまで反映させたことになろうかと思うんですけれども、であれば、これから今年度に行う調査は、ぜひ、より体系立てて、包括的な調査、そして研究であってほしいなというふうに思います。

 そこで伺いたいんですが、こちらからの要望をちょっと述べさせていただきますと、男性不妊、助成の創設は本当にありがたいです。更にその実態調査を、泌尿器科の専門の先生と連携しているところは非常に少ないということも言われていますし、実際、泌尿器科の先生に本来は回すというかお願いしなきゃいけない、専門的なところに行き着かないまま女性が不妊治療を続けるというケースもよく報告されていますので、そういった点。また、クリニックで行われている治療の内容、それから料金設定。

 この間、予算委員会の分科会でお話ししましたから、ここで個々にはお話ししませんが、本当にさまざまで、患者の側はどこで自分に適切な治療が受けられるのか全くわからないんですね。治療を受けても、何でこんなことを今さら、何年も治療した後に当たり前の情報をここから聞かされなきゃいけないんだみたいなことになっていますので、料金設定、治療の内容、それから医療連携とかですね、こういった点。

 また、あわせて、医療機関での実態調査もそうなんですが、自治体がかなり厚労省の制度に対して上乗せ補助とかあるいは啓蒙啓発とかいろいろやっていますから、それもちゃんと把握していただいて、どういうことが効果的なのかといった分析。さらには、保険適用ということがずっと言われているわけですから、適用することの課題。それから、諸外国での取組、そこのメリット、デメリットなり、国家財政の負担とか。そういったさまざまな、包括的な研究を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

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渡辺政府参考人

 御指摘のございました今年度の不妊治療の調査研究でございますが、具体的な項目についてはこれからということになりますが、御指摘のございました不妊治療の内容、これはもちろん数字的なことだけではなくて、男性不妊治療も含めましたそういったことですとか、あるいは費用負担の状況、さらには国民の不妊治療に係る意識、こういったものについて把握したいと考えております。

 また、御指摘のございました自治体の状況につきましては、実は、平成三十年度の厚生労働科学研究におきまして、これは費用負担の面からですが研究をしておりまして、これは二十九年四月一日現在でございますけれども、単独事業として助成をしているというところが約五五%あったというような結果もございますが、いずれにしましても、せっかく調査をいたしますので、できるだけ幅広い調査研究をしていきたいと思っております。

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山川委員

 ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、やはり、不妊治療の課題に取り組んでいると本当につくづく思うのは、どれほど日本の社会の中で不妊に対する、あるいは妊孕性というんでしょうか、男性不妊も含めてですけれども、についての知識、男性も女性も、自分の体というものがどうなっているのか、子供を持つということに関する、自分の体がどうなっているのかということを余りにも知らないんだなということを、これに携わると、私自身の経験からしてもそうなんですが、本当に突きつけられるわけであります。

 内閣府の調査でも、先進国の中では日本人の妊孕性の認識、知識が極めて低いという調査結果も出ているわけですね。このことを何とかしない限り、根本的に社会の認識をしっかりと広げていかないとやはりだめだなというふうに私は思っているんです。

 学校現場それから社会全体に対する啓蒙啓発、これらについて、少しずつやはり、この不妊治療を、いろいろな、二十五年に例えば報告書を出していますけれども、そこでもこの点は指摘されているんですよね。これらについてこれまで、どういう改善なり、取り組んで、そのことによって認識が広がってきたか、教育現場と社会全体に対しての、その辺のところをちょっとお伺いしたいと思います。

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佐々木(さ)大臣政務官

 学校における不妊に関する教育の取組についてお答えをしたいと思います。

 学校における性に関する指導は、学習指導要領に基づいて、児童生徒が性に関し正しく理解し、適切に行動がとれるようにすることを目的として実施をされております。体育科や保健体育科、また特別活動を始めとして、学校教育活動全体を通じて指導することとしております。

 そして、お尋ねの不妊に関しましては、高等学校保健体育科の学習指導要領に基づいて、加齢に伴って妊娠しにくくなること等について指導が行われているところでございます。

 加えまして、文部科学省におきましては、児童生徒の健康問題を総合的に解説した教材を作成しておりまして、全国の教育委員会担当者が集まる会議などでこの活用も周知をしてきたところであります。その教材の中では、不妊の原因は男女ともに考えられること、また、医学的に男女ともに加齢により妊娠しにくくなることなどについて触れております。不妊に関することについて児童生徒に正しく理解をさせることは重要であるというふうに考えております。

 今後も、学校現場における本教材の活用の推進、また指導参考資料の改訂等を通じまして、指導の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。

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藤原政府参考人

 社会全体というふうな御指摘もございましたので、内閣府の方からお答え申し上げたいと思います。

 私ども、少子化社会対策大綱全体を取りまとめる立場になっておりますけれども、現行の大綱でも、個々人が結婚や子供についての希望を実現できる社会をつくるということを基本的な目標に掲げているというところでございます。

 一方で、出生動向基本調査によりますと、子供の数に関する希望がかなわない理由といたしまして、欲しいけれどもできないというふうなことを理由に掲げる方の割合が全体の二割を超えている、また、年齢が上がることによってその割合が高まっていく、そういうふうな状況もわかっておりますので、不妊に悩む方への支援を通じましてその希望をかなえていくということは非常に重要であると私どもも思っております。

 昨年末、新しい少子化社会対策大綱に向けた有識者の検討会の提言をいただいたところでございますが、その中でも、男女を問わず不妊に悩む方への支援に取り組むことの必要性、あるいはライフプランニングの重要性、こういったことを御指摘をいただきました。

 これを受けて、現在検討中の新たな大綱につきましても、厚労省とも相談をしながら、不妊に悩む方への支援に資する施策、こういったこともしっかり盛り込んで、妊娠、出産に関する希望がかなうような環境整備を進めていきたいというふうに考えております。

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山川委員

 ありがとうございました。

 きょうは、お時間をいただいてありがとうございます。ぜひ、コロナ感染症対策、スピード感と切迫感を持って、そしてまた、不妊治療についても今年度の調査研究をぜひ大事にして取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

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