草加を前へ

【現場レポート】子ども食堂の拡大へ 新市長の旗振りに期待

子ども食堂は、子どもをはじめとした地域づくりの活動として注目され、コロナ禍でも取り組みが広がり続けています。草加市のウェブサイトによると、市内で8つの子ども食堂が運営されています。その1つ、「MEGママの子供食堂」を運営する粥川(かゆかわ)京子さんと佐藤順子さんに、子ども食堂から見えてきたことや草加市への期待を聞きました。

毎回来て、友だちになる子どもも

お店には子ども食堂のポスターが多く貼られている

お店には子ども食堂のポスターが多く貼られている

MEGママの子供食堂は、1年半前の2021年4月に始まりました。きっかけになったのは、粥川さんが4年半にわたってご自宅でお母さまの介護を続け、看取ったことでした。「介護でいろいろな人にお世話になりました。自分も70歳を過ぎて、人のために何かをやって人生を終わりたい」と粥川さんはいいます。

そのときにテレビや本で知ったのが、子ども食堂でした。「料理も好きだし、これからできるかも知れない」と思ったそうです。田舎料理のお店を続けているため、20人分、30人分の料理をつくる経験もありました。また、早くに夫を亡くし、2人の子を育てた経験から、「子育ての大変さ、とくに働きながら子育てをする大変さはわかるから、そういうママたちを応援したい」という気持ちも強かったそうです。

当時、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい始めていました。けれども粥川さんは「迷いましたけど、コロナだからといって、子どもは待ってくれない。1人でも2人でも子どもが喜んでくれたらいい、テイクアウトでもいいと思って始めました」。近所や保育園、学校などにチラシを配り、第1回の子ども食堂を開くと、約40人の子どもや保護者らが集まりました。

その後、毎月第2日曜日に開催を継続。多い時には70人くらいが来るそうです。料金は、子どもは100円、付き添いなどの大人は300円。コロナ禍が続いているため、基本はテイクアウトですが、どうしてもという子どもは、外に用意するテントで食べていくこともできます。

毎回来る子どもも多く、子ども食堂で友だちになった子もいるとのこと。子どもだけなく、ひとり暮らしのお年寄りも来て、300円をいただいて弁当を渡しているということです。

外見からは子どもの悩みは見えづらい

MEGママの子供食堂の“メニュー”

MEGママの子供食堂の“メニュー”

お二人は「1年半やって、子ども食堂の意義がわかってきた」といいます。

その1つは、自分では子ども食堂はできないけれど応援したいという人が大勢いること。野菜や肉などの食材、菓子、学用品、寄付などは、地域の人や地元の会社からたくさん届き、運営にはほとんど困らないそうです。

そして、子どもたちについて、「外見からは、悩みはわからない」とお二人は声をそろえます。「立派な家に住んでいても、手をかけてもらえない子どももいる」と粥川さん。佐藤さんは「お金に困っていなくても、さびしい思いをしている子どももいるよう。食を通して、それをいやすことができるのでは」と話します。

粥川さんは、来た子どもたちに誕生日を聞き、誕生日に合わせて、「おめでとう!」の手紙を送っています。子どもたちだけでなく、保護者も喜んでくれて、お礼の電話をもらうこともあるそうです。

「子ども食堂は、子育て応援、地域応援」と話すお二人が気になっているのは、「行ってみようかと思いながら気後れして来れない人、食事に困っているのに来ていない人が、まだまだたくさんいるのでは」という思いです。粥川さんは「そういう人も来れるように、子ども食堂がもっともっとできたらいい。各町内に1つはあったらいい」と繰り返します。

開設の支援や相談、子ども食堂の周知をもっと

世界食料デーのイベントで山川ゆりこと話す粥川さん

世界食料デーのイベントで山川ゆりこと話す粥川さん

MEGママの子供食堂の開始後、粥川さんは草加市の「ふるさとまちづくり応援基金(はじめよう部門)」に応募し、10万円の助成を受けました。この助成金を、大型の冷凍庫など各種の備品などの購入費に充てました。こうした助成を受けられることは、知人からたまたま教えてもらったそうです。

「子ども食堂の取り組みを広げるためには、市が、始めようかと考えている人のための勉強会を開いたり、すでにやっている子ども食堂のことをもっと周知したりすると、違うかも知れません」と粥川さん。開設に向けた相談窓口などもいいのでは、といいます。

粥川さんは、こうした子育てに関わるような問題は、男性よりも女性の方が強く意識すると指摘します。だから、「市役所の職員が半分くらい女性にならないと」とも。草加市長選挙で山川ゆりこは、「子育て・教育のまち」に本気で取り組む姿勢を強調します。「山川さんのような人が市長になり、周知などに取り組んでくれたら」と期待を話してくれました。

 

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