2020年2月25日 予算委員会第5分科会質疑より。
来年度、少し調査をするということなんですけれども、私も自分の経験からいろいろなことを知るようになっているわけなんですけれども、成功率が低い要因の一つとして、男性不妊に対しての認識あるいは対応が的確ではない部分があるのではないかという懸念を持っております。
WHOによると、不妊の原因の半分は男性にあるということはもう一般的にも知られていることというふうに思いますけれども、また、政府としても男性不妊に対する助成の拡大ということもされているわけではありますが、しかし、そうでありながら、やはり、日本の社会の中での男性不妊に対する認識、あわせて、医療機関においても、不妊治療というのが女性の治療を中心として、そこに男性も精子の検査をするというような形で加わってはくるけれども、基本的に女性の体外受精というところに非常に重点化されているということが成功率の低い要因の一つではないかということを懸念をしているわけであります。
少し私もいろいろな先生からお話を聞いたりもしたんですけれども、その中に、精索静脈瘤、一般的に男性の十人に一人はいると。それで、一人目不妊、不妊外来に来る男性の方の三割はこの精索静脈瘤だ、二人目不妊の場合は七割がそうであると。しかし、実際にその治療を受けているのは、統計はないんだけれども、数字をとっているわけではないので、感覚的には二割程度かなというふうにおっしゃるわけですね。
それから、卵子の老化というのは、NHK、クローズアップ現代でしたでしょうか、随分前にやって知られるところとなりましたけれども、その言い方がいいかどうかというのはありますが、認識はされるようになりましたが、精子も三十五歳を過ぎると質が低下し、さらに四十歳以上になると一年間に三%ずつ遺伝子損傷が起こるということ、これはもう知られていることのようであります。
しかし、こういう現状がありながら、不妊治療というと、男性の方はプラスアルファで、検査はされるけれども、基本的にはやはり女性の体外受精というところに重きが置かれていて、そして、男性不妊のところが見過ごされたまま女性の体外受精が繰り返し行われている。当然ですけれども、精子のDNA損傷があったらなかなか妊娠はしませんから。
こういったところが見過ごされているのではないかというふうに思うわけであります。この点についての御見解をお願いいたします。
御指摘のございました男性不妊の現状ということでございますけれども、私ども、平成二十七年度に実施した調査研究によりますと、これは、男性不妊に対しての専門医の在籍する、非常に少ないんですが、三十九施設に来た一年間の新規の患者さんの数は七千二百五十三名、こういうデータがございます。
また、その調査の中では、当事者の方に対してアンケート調査を行っております。これはインターネットを使ったアンケート調査でございますが、やはり、先生御指摘ございましたように、男性不妊に関して悩んでいることの大きいこととしましては、不妊の原因は男性にもあるということが社会的に認識をされていないんじゃないか、そういうことが挙げられているということでございます。
こうしたことから、今御指摘もございましたように、厚労省としては、二十八年一月から助成対象に男性の不妊治療も加えたり、さらに、今年度からは初回を三十万に引き上げるというようなこともしております。
また、御指摘のございました男性不妊の問題、あるいは女性の年齢との関係などにつきましても、三十年度の調査研究事業で、自治体が不妊相談を受けるときのガイドラインというのを我々の方でつくっておりまして、そういった中で、そういう正しい知識といいますか、そういうことをきっちり伝えていくということも盛り込んでおりますが、そういったあたりのガイドラインの見直しも含めて、しっかりと正しい知識が伝わるように周知していきたいというふうに思っております。
社会的な認識の問題ももちろんですが、やはり医療機関においても、先生方のお話を聞くと、なかなか婦人科の先生は泌尿器科の先生との連携がないとか、そもそも、窓口として助成の申請をできるのが婦人科の先生だけなんでしょうか、泌尿器科の先生は直接助成の申請ができないという現状もあるやに伺っています。本当に、社会の認識だけじゃなくて、やはり医療の現場でも連携がまさに必要だと思うんですが、このことは、時間も少ししかないので、また継続してやっていきたいと思います。
ぜひ、この点、男性不妊、知られてきつつはありますけれども、制度の中でもどうやって扱っていくか、助成の対象もかなり限られているようでありますから、その辺の見直しもぜひお願いしたいというふうに思います。