国会

【国政レポート】2021年8月

暑い夏の日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。
新型コロナウィルス感染症の感染拡大が止まらず、医療のひっ迫が現実の問題となっています。
希望するすべての皆様へすみやかなワクチン接種を行い、国民の生命と健康を守り、一日もはやく日常生活を取り戻せるよう精一杯働いてまいります。
皆様の声を私に聞かせて下さい。

衆議院議員 山川百合子

だれもが大切にされる輝く未来を
~光のあたらないところに、光をあてる~

声をつなぎ、政治を動かす!

一人ひとりは小さいけれど、みんなの声をかたちに・・・
政治家が「国民の声」と言う時、個人の多様性や自由が見えなくなってしまいがちです。
でも、諦めないで下さい。
一人ひとりの声には、政治を動かす力があります。

全ての人に休業補償を!

 シフト制で働く非正規労働者の中には、コロナ禍でも休業手当を受けられない方が多くいらっしゃいました。私たちは昨年、「休業支援金・給付金」の制度の導入を政府に働きかけ、まず中小企業で働く方々の支援が開始。しかし、まだ大手企業で働く非正規労働者が取り残されていました。
 都内の一流ホテルで宴会係として長年働いてきた方は「何十年も誇りをもって宴会係をやってきた。雇用条件も満足だった。でも、コロナ禍で仕事が無くなり、ホテル側から「あなたとは直接雇用契約はない」と、何の保障もなく放り出された」と。都会のきらびやかな空間を支えてきた多くの人々が、このような非情な労働条件で路頭に迷う。これを政治が許してはなりません。私たちは、「コロナ非正規労働者救済法案」を国会に提出。与党は審議拒否しましたが、法案趣旨が政府を動かし、大企業で働く一部の非正規労働者の支援が実現しました。

大学入試 突然の 英語民間試験導入を阻止!

 英語民間試験の中で既に全国47都道府県で受験できるのは、英検とGTECと呼ばれる試験です。文科省はこれに海外でも広く通用しているTOEFL i BT、IELTS、ケンブリッジ英語検定、TEAP、TEAP CBTを加え、7つの英語民間試験を大学入試センターが認定して活用する計画を発表しました。日本人学生の英語の4技能「読む、聞く、書く、話す」の偏重を是正し、より国際的な英語力の判定を行うのが目的でしたが、新たに加えようとする5つの試験会場が限定されていたり、一回の受験料が2万円程掛かったり、試験の有効期限が短期間であるなど、受験条件の格差が大きくなるため、受験生や学校関係者から反対の声が上がっていました。これに対し、萩生田文科相が「身の丈に合わせて活用すればいい」などの発言があり反発が拡がり、民間英語試験の導入は阻止されました。一人ひとりの事情に目が行き届く政策判断をしなければなりません。

検察庁法改正を阻止!

 第二次安倍内閣の官邸主導による政治運営は世の中に「忖度」(そんたく)という言葉を広め、森友学園への国有地売却に至る記録文書の改ざんを命じられた官僚が遺書を残して自殺する痛ましい事件に発展しました。この捜査の指揮を取らせるべく、安倍氏は黒川検事正を定年延長して検事総長に任命しようとしましたが、そのための検察庁法改正案は、黒川氏の担当記者らとの恒常的な賭けマージャンが発覚するなどして、結果的に阻止されました。
 政治思想家ジョン・ロックは、「法が終わるところ、暴政が始まる」と警告しています。この安倍政権の暴挙に対して、著名人が抗議の声を上げ、元検事総長をはじめとする検察OBが反対の意見書を出しました。これは一筋の世の光となりました。国民の怒りと声なき声、不正を許さない勇気ある一人ひとりの行動が、社会正義を守る力になることを私たちは忘れてはなりません。

不妊治療 いよいよ保険適用に!

 不妊治療の負担がもっと軽減されれば…当事者だれもが願ってきた思いです。私が県議時代に自分自身の不妊治療の実態や切実な思いを、予算委員会で訴えると、知事や執行部の皆さんは、体外受精で生まれてくる子どもたちが16人に1人もいるという現実に大変驚いた様子でした。しかもそれがすべて自費診療で子どもが欲しい夫婦が高額な負担をしていることに衝撃を受けていました。この質問がきっかけで、他党の男性県議さんたちまでもが「うちもそうだった」と、カミングアウトして下さいました。
 不妊治療をしていることは、なかなか他人には言えず、家族にさえ内緒で悩んでいる夫婦もおられます。以来、私は「声なき声」を丁寧に拾い集め、政治が本質的な問題解決を導き出すことが自分の使命だと考えるようになりました。まず埼玉県単独で、「男性不妊」への助成事業を実現。そして来年から、いよいよ不妊治療の「保険適用」が始まります。だれもが切実な声をあげやすい雰囲気づくりにも取り組みたいと思っています。

“今”の課題に的確に対応!

機を見て敏という言葉どおりに、政治は時々刻々と変化する事態に的確に対応しなければなりません。
今ここに、手を差し伸べるべき個人を助けることで、政治はその使命を果たすことが出来るのだと思います。

二人親世帯にも給付金を!

 ひとり親世帯が経済的に困窮する割合が高いことは、コロナ禍以前より知られていましたので、ひとり親世帯に対して昨年特別給付金が支給されました。しかし今年に入って、実はふたり親世帯でも、コロナ禍の影響を受けて困窮する世帯が増えている実態が表面化してきました。子どもたちの支援を行うあるNPOの方から、ふたり親であっても障がい者や多くのお子さんを抱え、「公共料金が払えない、貯蓄がない、食べ物や学校のノートなどの必需品が買えない」といったケースが増え、事態が深刻であると伺いました。
 この事態を打開するために、親の家族構成(ひとり親がふたり親か)に関わらず、低所得世帯に給付金を行き渡らせる「子どもの貧困」給付法案を国会に提出。与党はこれを審議拒否しましたが、法案趣旨が政府にプレッシャーを与え、ふたり親も給付金の対象とする制度改革が実現しました。

特措法改正案(山川私案)を提案!

 昨年、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった当初、政府は民主党政権時代に制定された新型インフルエンザ等対策特措法を適用せず、いち早く新型コロナウイルス感染症を感染症法上の指定感染症に指定しました。このため無症状や軽症者も法律に則って指定感染病院に収容すべき事態に直面しました。しかし、結果的に自宅療養や指定ホテル療養で対応することになるなど、具体的な対応策は後手後手に回りました。当時、最大の問題だったECMO(体外式膜型人工肺)や人工呼吸器などの医療器材やマスク、手袋、防護服などの医療資材の確保・供給を国の責任、感染拡大の防止と感染者の症状に合わせた収容先の確保は地方の責任、国と地方が明確に役割を分ける新型インフルエンザ等防止特措法の改正案(山川私案)を起草。野党合同会議に提案しました。この私案は実際に国会に提出されることはありませんでしたが、以降、ほぼこの方針どおりに対策が進んでいます。先行する欧米の実態から、一歩先を見た提言でした。

人権を守る!~ミャンマー問題~

 今年2月1日に、国軍によるクーデターによって大混乱に陥ったミャンマー。市民による抗議デモに発砲して死者が多数でる事態に。国軍による逮捕も続き、7月30日時点では、市民939人が殺害され、6990人が逮捕されたと報道されています。武力によって国軍が自国民の命を奪うなどということが許されていいはずがありません。ミャンマー国軍を強く非難する姿勢が示せない日本国政府に対し、ミャンマーの民主化を支援する議員連盟として、「人権」を最優先にする毅然とした態度を表明し、国軍に強く抗議するよう求めています。

備えよ常に!

新型コロナウイルス感染症に有効なワクチン開発にいち早く着手し、ワクチンパスポートの導入で移動の自由を回復しつつある欧米諸国。
座して待つばかりの日本政府の対応に、一歩先を見据え、常に備える覚悟で提言してきました。

感染症への備えを!

 7月31日現在で、日本はワクチンの接種率(対人口比2回接種)でも、27.8%と諸外国から大きく遅れをとっています。その根本的な原因は、国内ワクチン開発が遅れていることです。この問題について、私は5月の厚生労働委員会で、感染症学を専門とする尾身茂先生と衆議院厚生労働委員会で議論しました。「日本では感染症学がもはや自国の問題ではなく、国家としての予算付けも医療界における認識も希薄になっているのではないか。コロナ禍を経験した今、感染症学をわが事ととらえ、日本の高い“創薬力”を活かしてワクチン開発や治療薬の開発にいち早く成果が出せる体制整備が必要なのではないか」と、問題提起しました。尾身先生は、「日本は“創薬力”はあるがそれを製品化することに課題がある」と指摘。製薬業界を取り巻く産官学の構造的な改革が必要だという結論に至りました。
 国民の生命と健康を守り、国際社会に貢献するために、常に先を見据えた政治を実現していく覚悟です。

海外渡航のワクチンパスポート

 国産ワクチン開発のための基礎研究分野が日本で遅れている原因は、製薬業界がより早く投資効果を回収できる治療薬を予防薬よりも優先していることに原因があります。また、薬害エイズ訴訟や子宮頸がんワクチン問題などで国が薬事承認に消極的になっているのも一因だと感じます。しかし政府は国産ワクチンが存在しない現実から目を反らし、世界の主要国がワクチンパスポートを国内外に導入し、移動の自由や経済活動を再開させる動きにも遅れをとっています。
 ワクチン接種を国が義務化したり、ワクチン接種者と未接種者の差別が社会に拡がったりするのは問題ですが、国際社会の移動の自由に一定のルールは必要です。この問題を衆議院厚生労働委員会で取り上げた翌日、加藤官房長官が記者会見でワクチンパスポートに初めて言及。ようやく日本でも海外向けの接種証明の発行が始まりました。

時事放談~ ゆりカフェにて ~

オリンピックに難民の皆さん

 7月23日東京、オリンピック開会式の選手団入場。先頭を飾ったオリンピック発祥のギリシャに続いたのは、「難民選手団」の皆さん。前回のリオ五輪に初参加が認められた選手団で、東京で2回目になります。前回の出場は10人でしたが、今回はその3倍の29人。難民として認められ普通の生活を手にするまでの道のりは過酷で、旗手をつとめた選手の一人は、自国(アフリカの)エリトリアの紛争を逃れ、砂漠をはだしで歩き最後にはイスラエルにたどり着き、バタフライの選手は、シリアの紛争を逃れたボートが動かなくなり自ら泳いで岸を渡り、徒歩やバスでドイツにたどりついたそうです。過酷な経験の中で難民アスリートの方々は、スポーツを通じて生きる意味を見出し、未来へ導かれているそうです。
 難民の受け入れには極めて後ろ向きな日本で開催されたオリンピックで、人生の希望を輝かせる選手団を迎えることの意味は大変大きいと思います。国際人道支援NGOで難民支援に取り組んできた私も感慨深く選手団の入場を見守りました。平和の祭典をきっかけに、難民問題についても私たちの心をオープンにしていきたいものです。

共同親権

 福原愛さんの離婚報道には私も驚きましたが、この報道を通じて日本国民にも知られるようになったのが「共同親権」。日本は父、母のどちらか一方が親権を持つ単独親権のため、離婚後は親権をもたない方の親に子どもが会えないケースも起こっています。私のもとには、この報道の前から子どもの親権をもてなかったお父さん、お母さんから相談が寄せられていて、今年3月には国会でとりあげています。虐待などの事情がある場合には親とはいえ子どもの安全を第一に対応しなければなりませんが、そうでない場合、子どもにとってどちらも親は親。子どもの視点にたったときに、どちらの親からも養育してもらう権利があり、どちらの親も子どもを養育する義務、子どもの成長に関わる義務と権利があるはずです。
 この問題は、おかれている立場によって様々なご意見があると思います。ぜひ、あなたの声を私に聞かせてください。

TOP