松島委員長 次に、山川百合子さん。
山川委員 おはようございます。立憲民主党の山川百合子でございます。
法務委員としては二回目の質問でございまして、今国会から法務委員として立たせていただいておりますが、森まさこ大臣にはきょうが初めての質問となりますので、同じ女性として、ぜひ大臣の率直なところをいろいろな質問に対して伺えればなというふうに思っております。
よろしくお願いします。
それでは、まず初めに、森まさこ法務大臣の法務行政にかける思い、意気込みといったことをお伺いをしたいと思います。
さきの大臣の御挨拶、私も拝聴させていただきましたけれども、やはり、前大臣と同じように、児童虐待防止対策が真っ先に掲げられて、続いて人権問題への対応が続くなど、森大臣のもとでも日本の法務行政が国民の安全と幸せの追求に進展してくれることを期待をしております。
ただ、率直なところを申し上げますと、大臣の御挨拶の内容が、前大臣の内容と大体、ほぼ同じように見受けられました。
項目の順番が入れかわったりとか、表現が少し異なっているというところはあるように思うんですけれども、ちょっと見比べてはみたんですけれども、大体同じなのかなと。
もちろん、法務行政のトップであるというお立場から、法務行政の継続性ということもありますし、突然大臣に就任されたからといって、御自分の信念とか思いというものを綿密な省庁での調整なしに打ち出すことはなかなか難しいんだろうということもまた、私は慎重を期すんだろうということはお察しをいたします。
お察しはするんですけれども、しかし、やはり、先ほど最初に申し上げましたように、大臣は女性でありますし、また、弁護士として御活躍をされてきたわけでありますし、何よりも、私、大臣のことは直接存じ上げているわけではないんですけれども、大臣になられて、大臣の御経歴とか、なぜ弁護士になられたかとか、そういうことも含めていろいろ拝見をさせていただくと、例えば、弁護士になられて、人権弁護士育成のための留学制度ですか、アメリカへの留学制度、第一回生でしょうか、として参加されたり、また、御自身の経験から、消費者被害を受ける方々のために尽くしたい、戦いたいといった姿勢、また人権を守る、そういったことにすごくコミットされる、されてきた方なんだなということがよくわかります。
さらに、地元のインタビューでしょうか、メディアだと思うんですが、大臣就任に当たってのインタビューで、困っている人、そして弱い人を助けるために法はあるというふうに語られたというふうにも聞いています。
ですので、最初の御挨拶の中では、大臣のその熱い思いとか信念とか、私はこのために法に携わってきているんだ、そういう、森大臣だからこそというところが余り伝わってこなかったように思うわけであります。
それで、同じ女性ということもありまして、女性の大臣が大臣の期間中にどういったことをやられたかなというのをちょっと調べてみてもらったんですね。
千葉大臣のときは、一年ぐらいだったんでしょうか、その在任期間中に、選択的夫婦別氏制度及び再婚禁止期間の短縮の法制化の試み、また死刑の在り方についての勉強会の立ち上げ、またマスコミへの東京拘置所の公開などが挙げられるということのようであります。
松島大臣の際には、性犯罪の罰則に関する検討会を立ち上げられたということで、私、ほかの機会で、委員長とちょっとお話しする機会があったんですが、すごく性犯罪に関して思いを持って取り組まれているんだなということも感じさせていただいております。
そこで、森大臣にお伺いをしたいんですけれども、森まさこ大臣は、日本の法務行政のどのようなところに切り込みたい、あるいは改革したい、前進させたいと思っていらっしゃるのか、また、その前提として、日本の法務行政に課題は当然あろうかと思いますが、どういう課題認識をされているのか、まずそこをお伺いしておきたいというふうに思います。
同じ女性議員としての山川百合子委員からの初めての質問、大変光栄でございます。
また、所信的挨拶についての御指摘もいただきましたが、法務行政の継続性ということについても理解をいただき、本当にありがとうございます。
おっしゃるとおりでございまして、法務行政をしっかりと継続していくということが、また国民からの法務行政への信頼をいただく一つの方法かなと思っております。また、時間的な制限等もございますので、私の方で、できる限り継続性を保持しながらの私の考えというのを所信の中で述べさせていただいたわけでございます。
また、いろいろと私のことを見ていただいて、本当にうれしいです。
私は、十二歳のときに取立てを受けたという過去がございまして、そのときは、やはり、まだたった十二歳の少女であったわけで、この社会には正義というものがないのかな、お友達と同じように学校に行くこともできないのかという思いでいっぱいでございました。
そういう意味で、その後、多くの人の助けにより学校に再び行くことができたときに、正義を実現する、そのような生き方をしたいなと思って、助けてくれた人のうちの一人である弁護士さんを目標にして、私も弁護士になって、困っている人、弱い人を助けに行くようになりたいなと思って勉強して、高校から働きながら学校に行ったんですが、弁護士になりました。
弁護士になってからは、そのときの思いをもとに、同じような消費者被害を受けている皆さんを助けるための消費者専門弁護士になりまして、これは全国の弁護士の中でも非常に数が少ないんですけれども、人権弁護士の中の一類型でございますが、その活動を一生懸命やっているうちに、日弁連から、人権弁護士として消費者問題を調査するために留学をするようにということで、留学をして消費者庁について調べてきて、消費者庁の設置の活動をし、一年生、国会議員になったときに、消費者庁をつくるべきですということを福田総理に申し上げたりしてやってきた。そういう意味では、消費者保護活動を中心とした人権の保護、これを私のライフワークの中心に据えているところでございます。
このたび法務大臣になってからも、その思いは変わることなく、困っている人、弱い人を助けるために法はある、正義を実現するために法はある、この法治国家である日本において、その法の守り手として、法務大臣としての職務をしっかりと進めていきたいと思っているところです。
また、女性としての思いというのを聞いていただき、本当にありがとうございます。
これも、やはり働きながら子育てを両立してくるということは大変なことでございました。二人の子供を育てながら仕事をしてまいりましたけれども、そのような観点からも、児童虐待であり、又は女性や子供をめぐる人権問題であり、そういった子供をめぐる問題、女性をめぐる問題において、法務行政としてかかわれる分野についてはしっかりと取り組んでいきたい。
その中に性犯罪についての問題も含まれます。
ですので、今現在、法務省の中に立ち上がっているさまざまなワーキンググループや、それから研究会、専門部会、そういったことをしっかりと、そういった立場からも目を向けていきたいなと思っています。
また、就任当日に指示したものは、法務省の中の、女性の職員の活躍、それから男性の職員の育児休業の取得を始めとした、男女問わず全ての職員が生き生きと活躍できる職場環境の整備というものを進めていきたいと思いましたので、現状を、データを出すようにと指示をしまして、そこをしっかりと見ていきたいと思っています。
ありがとうございます。御自分の思いと大臣の思いを語っていただけたというふうに感じます。
その中で、十二歳のときに、社会に正義はないのかという憤りを強く感じて、正義を実現したいという、その小さいころからの思いを実現させていくために積み重ねてきて今があるということが語られて、そういう大臣のもとでありますから、日本国民の、本当に光の当たらないいろいろなことがあると思うんですね、そこに光を当てて、人権保護、そして人々の尊厳が守られるような法務行政をぜひ実現していただきたいというふうに思います。
訓示のことも少し触れられたんですが、職員の皆さんに対しても、正義を実現したいという意思を強く持って職務に取り組んでいただきたいという言葉がありまして、本当に皆さん全体が、省庁全体が、全ての方に至るまで、その思いでぜひ取り組んでいただきたいと思います。
その上で、幾つかこの後質問させていただきたいんですが、時間のことも気になるので少し順番を変えて、通告している三番の方からさせていただきたいというふうに思うんです。
今の大臣のお話の中にも、性犯罪、性被害ですか、性犯罪被害者のことにもしっかりと取り組みたいということがあったと思うんですね。ですので、そちらから御質問していきたいというふうに思うんですけれども、まず、刑法の性犯罪規定の見直しと性犯罪者の再犯防止について伺っておきたいというふうに思います。
平成二十九年の法改正では、ちょっと全部述べると長くなっちゃうので、五つの規定の整備が行われたというふうに思いますけれども、その中で、被害者団体等から強く要望されていた、強姦罪における暴行、脅迫要件の見直しや、子供が被害を受けた場合の公訴時効の見直しなどが見送られています。引き続きこの改正が強く要望されていたことから、附則で、改正法の施行後三年をめどとする検討、見直しの条項も加えられています。
先ほども出ていたと思うんですが、それを受けてワーキンググループを設置されて、今定期的に会合されていると思います。きのう伺ったら、もう九回ですか、やられたということですね。
このワーキンググループでどういうことを今やっているかということ、それから、三年後の再検討、ぜひスケジュールを前倒ししてでもどんどんどんどんやっていっていただきたいなというふうに思うんですが、まず、どういうことをやっているかということとスケジュールの前倒しについてお聞きしたいというふうに思います。
委員に御指摘いただきました施行後三年を目途とするという、ワーキンググループですけれども、性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ、これを設置してございまして、このワーキンググループでは、省内の各部局が実施する性犯罪に関する各種調査研究の進捗管理、これを行うとともに、性犯罪被害者を含むさまざまな立場の方からのヒアリングを実施するなどして、性犯罪の実態把握を進めているところでございます。現在までのところ、十回、これまで会合を開いてございます。
今後のスケジュール等でございますが、このワーキンググループにおきましては、来年春ごろを目途に、これらの調査研究やヒアリングの結果について取りまとめを行いたいと考えております。
その後についてでございますが、取りまとめの結果を踏まえて具体的施策の検討を行うこととなりますけれども、現時点においては、その具体的なスケジュールや見通しについては未定でございます。
ワーキンググループのテーマですね、九回でしょうか、テーマを毎回決めて、後でここに少し帰ってくるんですけれども、テーマを出して、それについていろいろヒアリングも行っていると思うんですが、少しそのテーマを、一覧というか、言っていただいていいでしょうか。
これまでのヒアリングの経過について御説明をしたいと思いますけれども、まずは、性犯罪の暴力救援センター東京、SARC東京というところがございます、そこからの理事長からのヒアリングを行ったほか、性犯罪被害者の方二名からもヒアリングを行っております。
それから、性犯罪加害者の処遇にかかわる専門家からのヒアリング、それから、性犯罪被害者支援にかかわる被害者心理学の専門家の方からもお話を伺ったり、あるいは、先般でいきますと、障害者への性暴力に関する啓発活動を行う団体などからもヒアリングを行っております。
では、ここのワーキンググループのことはちょっと後で戻ってきたいと思います。
大臣に伺いたいんですけれども、暴行、脅迫要件ですね、撤廃又は緩和について大臣はどのようにお考えかということと、また、フリーズ案件のように現状の構成要件では処罰されない場合もあり得る、これについては、これも含み得るような犯罪類型とするか新たな犯罪類型を別途設けるなどの対応が必要かと思うんですが、これについて検討の方向性というのはどうなっていくのでしょうか。大臣にお答えいただければと思います。
まず、暴行、脅迫要件の撤廃又は緩和についてのお尋ねがございました。
これについては、前回の平成二十九年の改正法では撤廃や緩和は行われなかったわけでございます。
その理由についてはさまざまなことが指摘をされておりましたが、その上で、法務省は、この附則第九条に基づいて、先ほどから委員が御指摘をしているワーキンググループを設置してさまざまな検討をしているんですが、この暴行、脅迫要件に関する事柄についても、性犯罪被害者や被害者心理学に詳しい専門家等からのヒアリング、それから無罪判決等の収集、分析等を進めておりますので、その調査研究をしっかりと、その結果を見て、そして被害当事者団体等から寄せられたさまざまな御指摘も踏まえて、具体的に検討をしてまいりたいと思います。
現時点で方向性をお示しすることというのは非常に困難でございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、幅広い皆様からのさまざまな御指摘をしっかり踏まえていく上で充実した検討になっていくように、しっかりと私の方で適切に対処してまいりたいと思います。
では、続いて、再犯防止のことについて伺っておきたいんですけれども、性犯罪者処遇プログラムの効果に対する評価、どういうふうな評価をされているかということについてお伺いをしておきたいと思います。
刑事施設及び保護観察所においては、平成十八年に策定された性犯罪者処遇プログラムを中心として性犯罪者の処遇が行われています。
二十四年十二月に、刑事施設における性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析及び保護観察所における性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析の結果を公表されていますけれども、このプログラムの概要とその効果についての分析結果を簡単に、簡潔に御説明いただければと思います。
まず、刑事施設の処遇プログラムについてお答えいたします。
刑事施設におきましては、強制わいせつ、強制性交などを行った者の中で、性犯罪の要因となる考え方に偏りのある者あるいは自己の感情や行動を管理する力に不足する者などに対しまして、再犯につながる問題性の大きさを判定し、その度合いに応じて性犯罪再犯防止プログラムを行っているところでございます。
具体的な内容としましては、受刑者にグループの中で性犯罪につながる要因を検討させるとともに、その要因に対処するための知識やスキルを身につけさせ、それらを出所後の生活で実践させるための計画を作成させております。
その効果につきましては、委員御指摘のとおり、平成二十四年に公表しております。
性犯罪受刑者二千百四十七名を対象としまして、出所後三年間の推定再犯率を分析した結果、プログラムを受講しているグループ、千百九十八名については再犯率二一・九%、受講していないグループ、九百四十九名につきましては再犯率は二九・六%であり、統計学上、一定の再犯抑止効果があると認められているところでございます。
続きまして、保護観察所におけるプログラムについての効果検証について申し上げます。
今御指摘のとおり、保護観察所においては、全五課程から成るコアプログラムなどの性犯罪者処遇プログラムを実施しておりますけれども、これにつきまして、平成二十四年に実施しました効果検証の結果を見ますと、プログラム受講群の方が、非受講群に比べまして、仮釈放者の場合は六・一ポイント、保護観察つき執行猶予者の場合は一五・四ポイント、それぞれ性犯罪の再犯率が低いことが示されております。
以上です。
ありがとうございます。
御答弁から、御説明から、プログラムを受講すれば再犯率は下がる、一定の効果があるということはお示しいただいたんですけれども、やはりプログラムを受講しても再犯があるということもまた同時に示されたとも言えると思うんですね。
それで、どうやって再犯を防止していくかということについてなんですが、GPSによる監視措置、薬物療法などを諸外国では導入しているところもあるわけでありますので、法務省としては、GPSによる監視とかあるいは薬物療法、これについてどういう研究を行っているか、また、導入するかどうかについてはどういう論点があるというふうに整理されているのか、そこも伺っておきたいと思います。
海外におきましては、性犯罪者の再犯を防止するため、GPS方式による位置情報確認制度や薬物療法を導入している例があることは承知してございます。
この点、法務省におきましては、過去に法務総合研究所が諸外国における性犯罪対策や位置情報確認制度に関する研究を行ったことがあり、その後も、性犯罪者の再犯を防ぐために、諸外国で行われている位置情報確認制度や薬物療法等に関する情報収集に努めているところでございます。
その上で申し上げますが、GPS方式による位置情報確認制度については、対象者の日常生活上の行動が常に監視される状況下に置かれ、プライバシー権などとの関係において人権上の大きな制約が生じることになるといった課題が指摘されているものと認識しております。
また、薬物療法につきましては、そもそも人の生理的機能を損なうことを内容とするものであり、また副作用が生じるおそれもあることから、法執行機関における処遇として実施することの妥当性に疑義がある、あるいは、既に薬物療法を実施している諸外国における状況を見ますと、使用する薬剤にばらつきがあり、薬剤の効能、副作用に関する専門家の意見がまとまっていないなどといった課題が指摘されているものと認識しております。
いずれにいたしましても、平成二十九年十二月に閣議決定しました再犯防止推進計画においては、海外における取組などを参考にしつつ、性犯罪者等に対する指導等について一層の充実を図ること、それから、犯罪をした者等の再犯の防止等を図る上で効果的な処遇のあり方等に関する調査研究を推進することなどとされておりまして、性犯罪者の再犯を防止する上での効果的な処遇のあり方等について、諸外国の例なども参考にしつつ、引き続き幅広い観点から検討してまいりたい、このように考えております。
導入がいいかどうかというのは、いろいろとちゃんと調査して検討していかなければいけないと思うんですが、犯罪を犯した人の人権、もちろんです。
しかし、被害者の人権というのがあるわけでありますから、やはり本当にこのことは、もう絶対再犯をさせないということは徹底していかなければいけないというふうに思っています。
それで、きょうはこの後、障害児者への性暴力ということについて質疑をしていきたいんですね。
というのは、私、率直に申しまして、法務委員になったということで、女性だからということもあるんでしょう、障害児者の性被害、性暴力について、何とかこれを取り上げてほしい、このことがいかに深刻な実態があるかということをお話を伺うことになったんですね。正直に申しますと、そのお話を伺って、私も、ここまでひどいのか、ここまでこんな実態なのかということに正直驚いたというのがございます。
ですので、この問題をぜひ森大臣にも、御存じなのかもしれませんけれども、ここでシェアをして、この問題に積極的に取り組んでいっていただきたいなという思いから、取り上げさせていただきます。
一つの事例として、これは報道されていましたので、取り上げさせていただきます。少し長くなりますが、その実態というか状況をお伝えするために御紹介いたします。
知的障害のある二十の女性の、性的虐待を受けたということであります。
軽度の知的障害がある女性Aさん。
外出するときはお母さんと手をつなぐような、幼いところがあるという方のようです。
障害者の就労支援施設に通っていたと。
そして、お母さんによると、明るくて朗らかで優しい子だった、しかし、あるときから、口数も少なくなって、笑顔もなくなって、そして死にたいと言うようになったそうであります。
お母さんはその原因がわからないでいたけれども、あるとき発覚したのが、通っていた施設の男性所長によるAさんに対する性暴力であったということのようです。
二人きりでの調理実習中に後ろから抱きついて体をさわるとか、あるいは送迎の車の中やホテルで服を脱がせる。
数カ月にわたってわいせつ行為を繰り返していたと。
母さんによると、口を押さえられたり、痛みを感じて大きな声を出していたみたいであって、抵抗していたと。
本当にこんなことが起こるなんて、もう信じられないということであります。
お母さんによると、その加害者である方は、体をさわるということを、Aさんやお母さんに対しては、整体やマッサージというふうに説明をしていた。
長時間拘束するときは、居場所がわからないように携帯の電源を切らせるなどの入念な、念の入れようだったと。
そのAさんは、今でも悪夢を見て泣き叫ぶ、加害者に似た男性を見るとパニックを起こすなどのPTSDに苦しみ続けているということであります。
このことは、その被害を知った自治体が調査を行って、性的虐待があったことを認定し、そして本人も不適切な行為を認めたということであるけれども、しかし、その所長が勤める施設は閉鎖になったものの、罪を問われることはなかった、裁判にならなかったということですね。
これは、私、報道で見たんですけれども、まず、このケースというかこの報道は、森大臣は御存じでしたでしょうか。
森国務大臣 存じ上げております。
それはよかったと思うんですけれども、では、森大臣は、これは一例ですけれども、障害があるということで障害児あるいは障害者の方が性暴力の被害者となっているのがどういう実態、どういう数ということで認識をされているでしょうか。
障害を持つ方が性被害に遭いやすい、あるいは被害が潜在化しやすいといった御指摘があることは十分認識しております。
件数については事務方から答弁させます。
手元に内閣府男女共同参画局による報告書がございます。
平成三十年九月のものでございますけれども、この調査で、若年層の性被害者を支援する団体を対象に調査をいたしたところ、三十歳未満のときに被害を受けた性暴力被害百二十七件のうちで何らかの障害ありと見受けられる事例、これが七十件、パーセントで五五%ということであったということでございます。
五五%なんですね。これは物すごい数字だというふうに思うわけであります。
ちょっと時間もないんですが、ほかの数字を挙げておくと、発達障害当事者のフリースペースというところが行った調査で、発達障害、そこにいらっしゃっている方に聞いた、三十二人に聞いたらしいんですが、そのうちやはり二十三人が何らかの性暴力、母数は発達障害のところに通ってきている方ですが、その三十二人に聞いたところ、二十三人が何らかの性暴力を経験していると。
これは、その性暴力というのは、聞いた項目とすると、望まない人に性的な部分をさわられる、望まない人にキスをされる、望まない人にセックスをされる、望まない人に裸や性器を撮影されるといった、この四項目。これが、二十三人が何らかの性暴力を経験していたということ。
それから、ちょっと調べてみたんですけれども、WHOがリバプール・ジョン・ムーア大学と共同で、二〇一二年ですか、調査を行ったようですけれども、そこでは、何かメタ調査という形で行っているようでありますが、障害のある児童だと、そうでない児童に比べて、三・七倍暴力に遭う、身体的な虐待を受ける割合は三・六倍だ、そして性的虐待を受ける割合は二・九倍だ、さらに、特に精神障害及び知的障害のある児童が性的虐待を受ける割合は四・六倍だということのようなんですね。
これは物すごい数字だと思うんですね。
今、子供の虐待、そして、子供、児童の性的虐待というのがすごく問題になっていますし、大臣もそれにしっかりと取り組んでいくという決意を示していただいたんですけれども、その中でも、本当に、障害のある子供たち、あるいは大人もそうなんですけれども、いかに被害に遭いやすいとか傷つけられやすいか、バルネラブルという言葉を英語では使っているようですけれども、ということが示されているなというふうに思うんですが、大臣は、この数字を聞いてどのように受けとめられるでしょうか。
法務省における実態調査ワーキンググループにおいても、障害者への性暴力に関する啓発活動を行う団体等からヒアリングを行っておりまして、外国の研究結果等も参照しつつ、障害者は被害を訴えることが困難である、そういうふうに加害者も認識をして標的にされやすい、それから、被害者本人が被害を認識できない場合もあるということが指摘をされております。
また、法務省においては、性犯罪の裁判例に基づいて、被害者が障害を有するかどうかという観点にも着目した分析を行っているところでございます。
今の委員の御指摘を聞いて、本当に、更に障害をお持ちの方の実態を重く受けとめましたので、今後とも、しっかりと実態を把握していき、着実な検討を進めてまいりたいと思います。
ありがとうございます。
実態を把握していきたいということで、先ほど伺ったワーキンググループの方でヒアリングなどを行っているということは聞いているんですね。
ですけれども、ちょっと、まだ、議事録の調整があるということで、議事録はアップされていないですし、そこで話されたことも、本当に議事録として実態を文字に起こしていいのかということも含めて調整をされているようでありますので、それほどやはり大変なことだということでありまして、統計的にも、どれだけ障害のある方が被害に遭っているのかということをぜひ明らかにするように、先ほど分析も行っているという話もありましたけれども、新たな調査も含めて、そのやり方というのもいろいろあろうかと思うんですが、ぜひお願いしたいというふうに思います。
その上で、済みません、時間が本当になくて、幾つか伺っておきたいんですけれども、先ほどありましたけれども、なかなか被害が表にあらわれてこない、あるいは、被害を被害と、何か大変なことが自分の体に起こっているということはわかっても、それが、自分が性暴力の被害者だということを認識することも難しい方もいらっしゃる、しかし、何か大変なことが起こっているということはわかるとか。
あるいは、被害に遭っているということをなかなか、知的に障害のある方の一つの特徴、特性として、言われたこと、あるいは教えられたことはしっかりと聞かなきゃとか、先生の言うことは守らなきゃとか、なので、自分が嫌なことをされていても、それは言っちゃいけないんだとか、従わなきゃとか、そういうこともある。
本当に、これを顕在化していくのは大変なことだと思うんです。
そこで、まずは実態調査が必要なんですけれども、その上で、その実態を把握することはもちろん大事です、それが最も基本なんですが、刑法に障害に乗じた性犯罪という類型を創設するということ、そういったことをやっている国もあるようですけれども、それについて、ちょっと突然で、聞かれても困るということでも困るんですが、ただ、ヒアリングでも明らかになっているはずなんです、ワーキンググループの。
刑法に障害に乗じた性犯罪を創設するということについて、もしよければ大臣、あるいは事務方でもいいですけれども、お伺いしたいと思います。
大変重要な御指摘であると思います。
まず、障害に対する性犯罪について、現行法を見ましても、被害者が障害のために心神喪失又は抗拒不能の状態にあるという場合であれば、百七十八条で準強制性交罪等による処罰が可能であるという現行法上の規律もございます。
また、障害者に対する性犯罪について、今委員御指摘のような形で暴行、脅迫要件を撤廃するなどの新しい類型を定めるということについては、さまざまな検討を要する事情もあることも事実でございます。
障害者が被害者である場合に法定刑を重くするというようなことを考えた場合、例えば、その種類や程度がさまざまである障害についてどのような理由で特別な規定を設けるのかということとともに、例えば、処罰するべき範囲であるとか、法定刑を重くするべき範囲を明確かつ限定的に規定できるのか。
刑法でありますので、罪刑法定主義に基づいて明確性の原則なども求められるところでございますので、こういった点も配慮をしなければいけないという事情もまた他方でございます。
そこで、御指摘いただいた点も含めて、障害にさまざまな種類や程度があることも留意をして、要件の明確性の点についても十分に検討しなければいけない。
先ほど、大臣、また事務方からも御説明させていただいておりますとおり、ワーキンググループを設置しておりまして、この中で、障害のある方の性犯罪について、その当事者や支援をされている皆様からもヒアリングをさせていただいておりますし、性犯罪の実態把握や無罪判決などについての収集、分析、また外国法制も十分に検討しているという状況でございますので、これから充実した検討を行うように、大臣の指揮のもと、しっかり検討してまいりたいと思っています。
ありがとうございます。
今、百七十八条で、現行でも適用されるということが最初の御説明にあったと思うんですが、じゃ、それが適用された障害児者のケースというのはありますでしょうか。
申しわけございません。ちょっと手元に準備がございませんので、ちょっとお答え、あとは後ほどでも、可能な範囲で、何かあれば、後でお届けしたいと思います。
今、持ち合わせがないということで、きのうもこの話、問取りですか、レクでしょうか、でしたんですけれども、準備しておいてとは言わなかったんですが、特に例は、きのうの段階でも挙げていただくことはできなかったんですね。
先ほど最初にお話ししたケース、Aさんのケースですけれども、この方は二十であったために百七十六条の強制わいせつ、十三歳未満の壁ということで、警察がなぜこれを罪に問われなかったかというと、警察の方が立件できない、二十であったからということで。もしこれに百七十八条が適用されるということが警察側がちゃんとわかっていれば、それは立件できたんじゃないかというふうに思うわけですが、結局、適用されますといっても、実際、そのことをちゃんと法にかかわる方たちが理解をしているのかというのもありますし。やはり、こういうところからして、声を上げてもなお救われないというのは、今度はそれを見て声を上げることをやめるというか、恐れてしまうし、ますます闇の中というんですか、光が当たらないというふうに思うんですね。
ですから、このことは、本当に私も、御相談を受けて私自身も調べるようになって、こんなにひどいことが、全く本当に卑劣ですね。障害を持っているからこのことが明るみに出ないだろうと。すごいんですよね。相手、加害者は、この障害、この人だったら大丈夫だろうということ、言わないだろう、言えないだろう、自分がされていることを認識しないだろうということを見分けてターゲットにするというふうなことを、相談を受けている支援センターの方々が本当にいかにひどい実態があるかということをおっしゃっていますので、ワーキンググループでのヒアリングは事の始めとして、この問題をぜひ認識していただいて、まだ幾つか質問したい点があったんですが、これは継続してやっていきたいと思いますので、本当にぜひこのことに取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。