2019年10月23日法務委員会より
死刑制度につきましては、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる大変重要な問題であり、国民の皆様の世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現など、さまざまな観点から慎重に検討すべき重要な問題であるというふうに考えております。
現在、国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人ですとか強盗殺人など、凶悪犯罪がいまだ後を絶たない現状、これを鑑みると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては死刑を科することもやむを得ない、死刑を廃止することは適当ではない、そう考えております。
そうしますと、今の御答弁は、今、国民の世論が多数として、やむを得ないと考える国民が多数であるので、大臣もそこはやむを得ないと考えているというふうな御答弁と今受け取りましたが、大臣のおっしゃったことはそれでよろしいでしょうか。
その通りであります。
申しわけございません。まず事務方から御答弁をさせていただきます。
死刑の犯罪抑止力に関するお尋ねでございます。
死刑の犯罪抑止力を科学的、統計的に証明することは困難でございますけれども、一般に、死刑を含む刑罰は犯罪に対する抑止力を有するもの、こういうふうに認識されているところでございます。
また、これまで政府が行った死刑制度に関する世論調査においても、死刑がなくなった場合、凶悪な犯罪がふえるという意見とふえないという意見がありますが、あなたはどのようにお考えになりますかとの質問に対して、ふえると回答した者がいずれも過半数を占めているなど、死刑の犯罪に対する抑止効果は広く認識されているというところもあるところでございます。
さらに、死刑制度の存在が長期的に見た場合の国民の規範意識の維持に有用であるというところもあるかと考えてございます。
御指摘のとおりでございます
今具体的な再審の話ですとか判決のお話が出されましたけれども、この問題につきまして、個々の判断にかかわる事項ということでありますので、お答えは控えたいと存じますが、一般論として申し上げれば、再審の請求は、刑事訴訟法上、それ自体で法務大臣が死刑の執行停止を命ずる事由には当たらないというふうにされております。
再審請求を行っているから執行しないという考え方はとっていないということであります。
一般論として申し上げれば、死刑の執行に関しては、個々の事案について、関係記録を十分に精査して、刑の執行停止、再審事由の有無などについて慎重に検討して、慎重の上にも慎重に検討して、これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を発するものであると承知をいたしております。
お聞きしたのは、個々の判決についてということではなくて、誤判もあり得るときに、取り返しがつかないことになるかもしれないというその可能性ですね。
それを踏まえて、個々の判決についてどうこうという、例は出しましたが、そのことについてどうこうということではなくて、大臣の御見解として、死刑が執行されてしまった場合には取り返しがつかないのではないかということについて、どうお考えかということをお聞きしておきたいということであります。
委員御承知のとおり、日本におきましては、死刑は極めて厳格な制度のもとで慎重に運用されておりますので、誤った裁判によって無実の者に死刑が執行されるものはないというふうに考えております。
今御指摘のありましたような、いわゆる誤判、誤った判断、誤判のおそれを理由として死刑制度を廃止すべきだという意見があることは承知をいたしておりますけれども、一つには、三審制が日本においては保障されております。
さらに、確定した裁判においても、再審あるいは非常上告等の救済制度が設けられているということで、こういった仕組みが誤判を防止するために有効に機能しているというふうに考えております。
そもそも、裁判所におきまして極めて慎重な審理を尽くした上で判決が言い渡されているということで、有罪の認定まで非常に厳格な手続が既にしっかりととられているということであります。
先ほど私がお答えしましたように、さらにその上に、死刑の執行に際しましては、個々の事案について、関係記録を十分に精査、再審が開始されるべき事由が存在するかどうかなどについて慎重に検討して、これらの事由等がないと認めた場合に初めて法務大臣として死刑執行命令を発するというものであります。
今の御答弁の中で、執行を決定するのは大臣ということで、判断をされるお立場にある所管大臣としては非常に重い決断をしなければいけないというふうに、私もそう認識をしておりますし、本当に大変な重責を担われているというふうに思っています。