質疑

2020年2月25日 予算委員会第5分科会

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 次に、山川百合子君。

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山川分科員

 立国社の山川百合子でございます。

 大臣におかれましては、コロナの対応で大変な中、出てきていただいてありがとうございます。

 今、コロナで大変なときではありますが、たくさんの議員がコロナについては質問しておりますので、私の方からは、せっかく大臣との機会でございますので、不妊治療の現状と課題について、ぜひ大臣の御認識を更に深めていただいて適切な対応をしていただければという思いで質問をさせていただきます。

 御承知のことと思いますけれども、不妊に悩むカップルは、日本では今、全体の三組に一組にも上ると言われております。不妊の検査や治療を受けたことのあるカップルは五・五組に一組であります。

 二〇一七年の数字でありますけれども、生殖補助医療で誕生した子供が五万六千六百十七人。このときの出生児の数は九十四万六千六十人ということでありますから、大体十六・七人、約十七人に一人がこの生殖補助医療で誕生したという数字になります。これは全体のほぼ六%であります。

 少し数字を追ってみますと、二〇一五年には五万一千人、これは出生児数に対して五・一%、二十人に一人であります。また、少し下がりまして二〇一〇年、このときは三十三人に一人ぐらい、約三%になります。そして、これが二〇〇〇年までさかのぼりますと、大体九十七人に一人ということで、この十七年間の間に、九十七人に一人、約一%だったのが、もう十七人に一人、約六%にまでなっているというこの数字を加藤大臣には改めて御認識いただいて、生殖補助医療がいかに子供の出生の数の中での割合が多くなっているかということをぜひ御認識をいただければと思います。

 私自身が不妊治療をしておりまして、そして、不妊治療をしているということをいわゆるカミングアウトしますと、周りに本当に驚くほどたくさんいらっしゃいます。私がカミングアウトすると、実は私もそうなのよとか、私の息子や娘もそうなのよとか、あるいは、親戚縁者、お友達を含めて、この話をすると必ずと言っていいほど、お一方、お二方は必ずいらっしゃいます。それが大きな集団ではなくて、一対一で話していてもそうでありますから、いかに今この不妊治療という問題が日本の社会で深刻な課題になっているかということがうかがわれるというふうに思います。

 この点について、加藤大臣の御認識をまずお伺いできればと思います。

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加藤国務大臣

 今の状況は委員からお話がありましたので触れませんけれども、私の周り、いろいろな話をする中で、やはり不妊の話というのは出てくるわけであります。

 そして、実際に不妊治療をされている方が、経済的な負担だけじゃなくて、精神的な負担等、本当に御苦労され、そして、不妊治療をした結果、出生に結びついている方、何回も何回もやりながら残念ながら子供を持つに至っていない方、いろいろいらっしゃって、本当にその思いというのは、どういうふうに表現していいかあれですけれども、何とも言えない思いを持ちながらそれぞれが向き合っているということ、このことは私どもしっかり承知をしながら、不妊治療に対する適切な支援をしていかなきゃいけないと思うと同時に、やはり妊娠そのものに対する理解を深めていくということも同時に大事なのではないかなというふうに思っております。

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山川分科員

 御認識をいただいているということで、本当にぜひ適切な支援に更につなげていっていただきたいなという思いで、この後を続けさせていただきます。

 私は、自分が治療してきたということもありまして、幾つも医院も回りましたし、クリニック、医院の状況というのはさまざまなんだなということは私の経験としてよくわかっているつもりであります。

 私の話になりますけれども、少しさせていただきますと、私は四つの医院に行きました。最初は、どうしていいのかわからないですから、ネットで検索をしまして、何となくよさそうかなと思ってまず行ってみますと、まず最初に言われたのが、あなたは非常に遠いですよ、不妊治療って大変なんですよ、ここまで通い切れないと思いますよ、もう少し家から近い方がいいんじゃないんでしょうかと言われまして、今度は少し近いところに、どういうところがいいですかと、特に紹介するというわけじゃないんですが、こういうところがありますよねみたいな感じで、そこに行ってみました。

 そこに行ってみますと、非常に大きなところで、正直、規模に圧倒されましたし、非常に流れ作業的な治療でありまして、主治医の先生がつくわけでもなく、いろいろな不安がありますけれども、そこの御相談を丁寧にするというような状況ではなくて、流れ作業的に検査が行われて、そして、たくさん先生がいらっしゃいますから、そのときにあいている先生に面会して、いろいろ聞きたいこともあるんですけれども、なかなかそこまで時間をとっていただけない。たくさん待っていらっしゃいますから、余り時間をとるのもなという感じで、とにかく流れ作業的に治療を行っていくというような感じでありました。

 何となくそれでいいのかなという不安があって、周りのそういう治療をしているという話を聞くと、どこでやったとか成功したとかという話になっていって、ある違うところのクリニックに移りました。そこでもやりまして、またそこでもどうなんだろうというふうに思いまして、総合病院に行った方がいいんじゃないかと思って、今度は総合病院に行きました。

 そこでも検査をしたところ、私は甲状腺の値が悪いと言われまして、甲状腺の値が悪いと幾ら卵子がよくてもほとんど着床しないんですよと言われました。私はそれを初めてその病院で聞いて、今までそういう検査をしてこなかったなと。今まで採卵もして移植もしましたけれども着床しなかったという経験で、それだったらもっと早くその検査をしてほしかったし、甲状腺の値は薬を飲みさえすれば改善しますので、治療としては大変なことでは全くなかったんですけれども、じゃ、私のこの何年間は何だったのだという思いにさいなまれたわけであります。

 それは私自身も自分で経験してようやくわかったことでありますけれども、それ以来、私の周りのそういう人たちとの話になると、甲状腺の検査をしたかとか、そうなの、そんなの知らなかったといって、先生に聞いてみたとかということになるわけですね。これは私の経験でありますけれども、こういう経験をしている人たちはたくさんいらっしゃいます。

 それで、治療の現場がどういう医療を行っているのか、どういう基準を持って治療を行っているのかということが、いわゆる患者である私たちには全くわからないんですね。ネット情報、口コミ情報というんでしょうか、そういうところで、何となくこれでいいのかなと手探りでやっていくわけなんですけれども、こういったクリニック、それから医院等の現状について大臣はどのように把握をされているか、お聞かせいただければというふうに思います。

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渡辺政府参考人

 まず、私の方から現状について御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、先生から最初に御指摘のあった、そもそもどういう医療機関とかを受けたらいいだろうということに関しましては、厚生労働省の方で、今これは七十六の自治体にございますけれども、不妊専門相談センターというところで事業を行っております。大体年間二万五千件ぐらいの御相談があるんですが、不妊治療を実施している医療機関の情報を求める方が千五百件ぐらい、それから、御指摘のありました検査とか治療の中身についての相談が四千九百四十五件、約五千件ぐらいということでございまして、我々は、こういうところに寄せられている情報というのをもう少ししっかり把握をしてきちっと整理をしていく必要があると思っております。

 それから、おっしゃられた医療機関の治療そのものの精度を上げていくということに関しましては、今は基本的に自由診療ですので、何か国の方でガイドライン等を出しているわけではございませんが、今年度の事業としまして、いわゆるAMED、日本医療研究開発機構の研究事業で、不妊症の解明とか、あるいは質の高い不妊治療も含めた生殖補助医療の研究開発に取り組んでいるところでございまして、こういったあたりの成果あるいは知見というものも治療水準の向上につなげていきたいというふうに考えております。

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山川分科員

 今やっていることがあるんです、もう少し実態把握もというお話なんですけれども、物すごい数の人が不妊治療をやっていて、そして多くの当事者たちが口をそろえて言うのは、本当にどうしたらいいのかよくわからないということなんですよね。叫びでもあるこの思いというものを加藤大臣がどのように受けとめていただけるか、加藤大臣から伺いたいと思います。

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加藤国務大臣

 今委員からのお話もありました、どこの病院に行っていいのか、あるいは、そうした中で、それぞれ病院ごとに、どう言ったらいいんでしょうね、治療のやり方と言っていいんでしょうか、あるいは時には治療の水準なのかもしれませんが、ばらばらであるというお話がありました。

 まず、先ほども局長から答弁させていただいたように、できるだけ情報を提供するということで、不妊専門相談センターを各都道府県、指定都市、中核市に配置をして、それぞれでそうしたセンター事業を実施をしていただいております。

 また、全体としての治療水準の向上は、我々としてはいろいろな研究事業の結果を提供させていただく、あるいは、それぞれ学会の中でもいろいろな御議論があるんだろうと思いますけれども、そういったことを通じてより高い医療水準、治療水準を目指していただく、これを我々としてもしっかり支援をしていきたいと思います。

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山川分科員

 ありがとうございます。

 治療水準の向上を図っていきたいというお答えをいただいたんですけれども、お手元にもお渡しさせていただいたと思いますが、少し資料を見ながらお話をしたいと思うんですが、これは、二〇一一年のデータを二〇一八年に整理されて、この出典のとおりのところから引いてきた数字なんですけれども、これを見ていただきますと、採卵周期数は日本が断トツに多いわけであります。あと施設数ですね、真ん中の方にある施設数、日本がやはり断トツに多いわけであります。それに対して、妊娠率、生産率というのが左側にございますけれども、妊娠率を見ると日本は非常に低いわけであります。それから、その隣の生産率、妊娠しても流産をしてしまうというのもありますから、生産率というのは、出生した、子供が生まれたということであろうかと思いますが、これを見ても非常に日本は低いということであります。

 もう一枚めくっていただきますと、こちらになるわけでありますが、このグラフは、生産率のところ、最初の一枚目のところは五つの国を取り出しておりますけれども、こちらの二枚目の方、赤い方は生産率を各国ずらっと並べてあるわけであります。ちょっと文字が小さいので見づらいと思いますけれども、一番左の矢印がついているところ、これがジャパンでありまして、日本であります。低い順に並べてあるわけでありますけれども、この二番目に低いところの国と比べても極端に低いのが日本であるということでありまして、このグラフは私も見たときは非常に衝撃的でありましたけれども、これほど、いわゆる成功率というんでしょうか、が非常に低い。

 施設数もたくさんある。世界一だというふうに聞いておりますけれども、施設の数も世界一。そして、いわゆる治療の回数ですね、行っている治療の回数も世界一。しかし、成功率はこれほど低いという数字が出ておりまして、この実態についてどのような御認識をお持ちでしょうか。

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渡辺政府参考人

 データの関係ですので、先に私の方から御説明させていただきますと、今委員からお示しいただいたもの、ちょっと私も初見ですので必ずしも十分なコメントになるかどうかわかりませんが、恐らくこれは、確かに施設数とかもありますが、実際に不妊治療を受けている方の年齢構成といったようなことも多分補正をしないと単純に比較できないのかなとも思っております。

 おっしゃられたような生産率ということになりますと、当然流産率とかもかかわってくるわけですが、私どもが平成二十五年にやった有識者検討会でも、やはり四十歳を超えるとかなり流産率が高くなると。諸外国に比べましても、日本は今四十三歳まででございますので、比較的四十代の方も受けていらっしゃるということもあって、ちょっと年齢的なことも加味して見てみないといけないのではないかというふうに思っております。

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山川分科員

 年齢が関係しているんじゃないかということはございましたけれども、このデータというのはこの出典のところから引いてきたものでありまして、そうじゃないかと今おっしゃいました。年齢も入れて見なきゃいけないんじゃないかとおっしゃいましたけれども、この実態について、世界一施設数が多くて治療数も多いんだけれども、実態はどうなのか。そのことによって子供が欲しいと思う人たちが授かることができているのかという、この実態について厚労省として独自の調査をすべきというふうに思うんですけれども、そのあたりはどうでしょうか。

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渡辺政府参考人

 御指摘の不妊治療につきまして、現在、私ども厚労省の方で一定の経済的な負担に対しての補助を行っておりますけれども、そういった実際の治療費用とか、あるいは受けていらっしゃる方の年齢構成とか、そういったことにつきましてもう少しきちっとしたデータをとる必要があると思っておりまして、来年度、令和二年度に厚労省としまして研究事業を立ち上げまして、こういった不妊治療の実態、経済的な面、あるいは実際に受けていらっしゃる方の状況、そういったあたりを少しデータの収集をして、今後の不妊治療のあり方ということで考えていきたいと思っております。

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山川分科員

 来年度、少し調査をするということなんですけれども、私も自分の経験からいろいろなことを知るようになっているわけなんですけれども、成功率が低い要因の一つとして、男性不妊に対しての認識あるいは対応が的確ではない部分があるのではないかという懸念を持っております。

 WHOによると、不妊の原因の半分は男性にあるということはもう一般的にも知られていることというふうに思いますけれども、また、政府としても男性不妊に対する助成の拡大ということもされているわけではありますが、しかし、そうでありながら、やはり、日本の社会の中での男性不妊に対する認識、あわせて、医療機関においても、不妊治療というのが女性の治療を中心として、そこに男性も精子の検査をするというような形で加わってはくるけれども、基本的に女性の体外受精というところに非常に重点化されているということが成功率の低い要因の一つではないかということを懸念をしているわけであります。

 少し私もいろいろな先生からお話を聞いたりもしたんですけれども、その中に、精索静脈瘤、一般的に男性の十人に一人はいると。それで、一人目不妊、不妊外来に来る男性の方の三割はこの精索静脈瘤だ、二人目不妊の場合は七割がそうであると。しかし、実際にその治療を受けているのは、統計はないんだけれども、数字をとっているわけではないので、感覚的には二割程度かなというふうにおっしゃるわけですね。

 それから、卵子の老化というのは、NHK、クローズアップ現代でしたでしょうか、随分前にやって知られるところとなりましたけれども、その言い方がいいかどうかというのはありますが、認識はされるようになりましたが、精子も三十五歳を過ぎると質が低下し、さらに四十歳以上になると一年間に三%ずつ遺伝子損傷が起こるということ、これはもう知られていることのようであります。

 しかし、こういう現状がありながら、不妊治療というと、男性の方はプラスアルファで、検査はされるけれども、基本的にはやはり女性の体外受精というところに重きが置かれていて、そして、男性不妊のところが見過ごされたまま女性の体外受精が繰り返し行われている。当然ですけれども、精子のDNA損傷があったらなかなか妊娠はしませんから。

 こういったところが見過ごされているのではないかというふうに思うわけであります。この点についての御見解をお願いいたします。

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渡辺政府参考人

 御指摘のございました男性不妊の現状ということでございますけれども、私ども、平成二十七年度に実施した調査研究によりますと、これは、男性不妊に対しての専門医の在籍する、非常に少ないんですが、三十九施設に来た一年間の新規の患者さんの数は七千二百五十三名、こういうデータがございます。

 また、その調査の中では、当事者の方に対してアンケート調査を行っております。これはインターネットを使ったアンケート調査でございますが、やはり、先生御指摘ございましたように、男性不妊に関して悩んでいることの大きいこととしましては、不妊の原因は男性にもあるということが社会的に認識をされていないんじゃないか、そういうことが挙げられているということでございます。

 こうしたことから、今御指摘もございましたように、厚労省としては、二十八年一月から助成対象に男性の不妊治療も加えたり、さらに、今年度からは初回を三十万に引き上げるというようなこともしております。

 また、御指摘のございました男性不妊の問題、あるいは女性の年齢との関係などにつきましても、三十年度の調査研究事業で、自治体が不妊相談を受けるときのガイドラインというのを我々の方でつくっておりまして、そういった中で、そういう正しい知識といいますか、そういうことをきっちり伝えていくということも盛り込んでおりますが、そういったあたりのガイドラインの見直しも含めて、しっかりと正しい知識が伝わるように周知していきたいというふうに思っております。

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山川分科員

 社会的な認識の問題ももちろんですが、やはり医療機関においても、先生方のお話を聞くと、なかなか婦人科の先生は泌尿器科の先生との連携がないとか、そもそも、窓口として助成の申請をできるのが婦人科の先生だけなんでしょうか、泌尿器科の先生は直接助成の申請ができないという現状もあるやに伺っています。本当に、社会の認識だけじゃなくて、やはり医療の現場でも連携がまさに必要だと思うんですが、このことは、時間も少ししかないので、また継続してやっていきたいと思います。

 ぜひ、この点、男性不妊、知られてきつつはありますけれども、制度の中でもどうやって扱っていくか、助成の対象もかなり限られているようでありますから、その辺の見直しもぜひお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、政府としてこれまで助成を拡充してきていただいていることは私もよく認識をしているんですけれども、ちょっと数字を、お配りをしている資料にもあると思うんですが、これは、FineというNPO法人、当事者の方たちが二〇〇四年に立ち上げて、二〇〇五年にNPO法人化して、当事者間のコミュニケーションとか医療機関への働きかけとかをやっている、御存じだと思います、政府への提言などもされていますので。ここが調査をかなり綿密にやっているんですね。

 ネットなどからも含めて五千人から集めるというような、かなり大規模な調査をしていますけれども、そこで出されているのが、治療費がだんだん年々上がっているという数字がこの資料にも示されていると思うんですけれども、顕微授精の平均治療費をお出ししていますけれども、二〇一〇年、一周期当たり五十万円以上かかっている、三二%だったのが、二〇一八年には何と六〇%にもなっている。

 助成をしていただくのはすごくありがたいんですが、自由診療で、私も自分の経験から、医療機関の言い値なんですよね。幾らと言われたら、わかりましたと言うしかなくて、言い値でかかるわけです。そうすると、助成を拡大はしていただいているけれども、実際、治療費が上がっている。この現状をどうごらんになりますか。これは大臣に、この数字を見ていただいて、どういうふうな印象をお受けになるか。

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渡辺政府参考人

 先にデータ的なところだけお答えさせていただきますと、御指摘のございました今の助成費用、これは初回以外は十五万でございますが、これは平成十年の調査研究に基づくデータでございまして、このときは三十万から四十万ぐらいが顕微授精であれば平均的だということでつくっております。

 これにつきましては、直近の状況がどうなっているかというところは調べたいと思っておりますが、同時に、今御指摘ございましたように、これは自由診療ですので、まさに、例えば、実際の不妊治療以外にもいろいろな、その前の検査などをたくさんやっている医療機関とそうじゃない医療機関とでもいろいろ差があると思いますので、そういったあたりの、金額だけではなくて、もう少し具体的な中身というようなことも来年度の調査の中で調べていきたいというふうに思っております。

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加藤国務大臣

 基本的な考え方は局長から申し上げたところでありますけれども、委員御承知のように、これまでも、平成十六年からこの特定治療支援事業をスタートして、逐次対象の助成額を上げていく、あるいは男性に対する助成をメニューに入れる、また、令和元年度からは初回の男性の不妊治療費を十五万から三十万に拡充する、逐次拡充させていただいているところでありますので、今答弁させていただいたように、治療の実態を見ながらその方の経済的な負担を一部支援していく、こういう考え方にのっとってこれまでもやってきているわけでありますから、引き続き、そういった考え方によりながら、どういう形で支援をしていくということがいいのか、しっかり議論をさせていただきたいと思います。

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山川分科員

 ありがとうございます。

 支援の拡充をしていただいていることには本当にありがたいと思っておりますし、さらなる拡充によって、せめて経済的負担は軽減していきたいというふうに思うわけなんですが、片側で、やはり、自由診療であるがゆえに、非常に、今現在、医療水準の標準化というところにも課題があると思いますし、治療費の適正化というのにも課題があると思うんですね。

 そこで、当事者の方が大臣にも要望されていると思いますし、当事者から本当に声が上がっているのは、やはり保険適用に向けていろいろな課題を整理していく。このことによって課題が整理されていく、医療水準の標準化というのもなされていくというふうに思っているわけであります。

 きょうは時間が来てしまったので、この保険適用に向けて課題を整理していくということをぜひ政府の今後の検討の中に入れていただいて、本当に適正な医療とそして適正な価格で、これだけの人たちが大変な思いをしているわけでありますから、ぜひその方向に向かって検討をいただければと思います。

 最後に大臣に一言お願いできればと思います。

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加藤国務大臣

 不妊治療についても、他の疾病と同様で、治療と疾病の関係が明らかで、治療の有効性、安全性等が確立しているものは保険適用の対象とすることで、例えば、卵管閉塞に対する卵管形成術、精管閉塞に対する精管形成術、子宮内膜症に対する医薬品等については保険適用としているところではあります。

 ただ、このうち、体外受精や顕微授精といったいわゆる生殖補助医療の保険適用は、疾病に対する治療と位置づけられるのかという課題があるというふうに考えております。そういった課題をどうこれから捉え直していくのか、これはしっかり議論はしていかなきゃいけないと思います。

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山川分科員

 ありがとうございました。引き続きこの問題は委員会等でやらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

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後藤主査

 これにて山川百合子君の質疑は終了いたしました。

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